今回は、カーボンリサイクルCCUSの読み方と意味(バイオver) について書きたいと思います。
CCUS・CCSとは
CCUSとは、Carbon Capture Utilization and Storageの略です。
CCS(Carbon Capture and Storage)と呼ばれることもあります。
(CCSはCO2回収から貯蔵までを指し、CCUSはCO2回収から貯蔵し有効利用するまでを指します)
CCUSは、工場や発電所などから排出される二酸化炭素(CO2)を回収し、地下へ貯留する技術、および貯蔵した大量のCO2から新たな物質を生成する技術のことです。(以下図)

日本ではカーボンニュートラル(CN)を実現するような技術や、過去に排出された大気中のCO2をも削減する「ビヨンド・ゼロ」を可能とするような革新的技術を、2050年までに確立することを目指しています。
特にCO2排出量を減らすカーボンネガティブ実現のためには、CCUSの実用化は必要不可欠です。
バイオVerではない、CO2から化石燃料由来の材料生成に関するCCUSについては、別記事でまとめております。
CCUS・CCS 流れ
空気中の二酸化炭素を回収し、貯蔵した大量の二酸化炭素(CO2)からどのように新たな精製物を作れるのか、以下の模式図でまとめました。

図を見ていただくと、CO2から多くの物質を生成できることがわかります。
CO2からの精製物は以下3つに分類することができます。
- 炭化水素燃料
- バイオエタノール
- 化学品・樹脂材料・複合材料
炭化水素燃料
CO2からセルロース系バイオマス材を経て、最終的には炭化水素燃料を得ることができます。
炭化水素燃料は、炭素と水素からなる化合物で、ガソリンや軽油になります。
昨今バイオ材料の代表格と考えられ様々な研究が進んでいるセルロースもCO2から生成することが可能です。

バイオエタノール
バイオエタノールもCO2から生成することができます。
バイオエタノールとは、サトウキビやトウモロコシ、木材などのバイオマスを発酵させて製造するエタノールのことです。
バイオエタノールは飛行機の燃料として使われ始めています。
今後自動車のガソリン代替燃料として広がっていくことが期待されています。

化学品・樹脂材料・複合材料
CO2から化学品・樹脂材料・複合材料へも加工ができます。
CO2から、セルロース系バイオマス材から有機化合物を作るルートと、植物油から油脂類モノマーを作るルートの2通りあります。
CO2から化学品や樹脂材料が作れる技術が出来上がれば、樹脂材料のリサイクルが無限にできることになり、最もエコな未来が実現することが期待されています。

CCUS・CCS 課題
上記図を見ていただくと、CO2から多くの物質を生成できることがわかります。
炭化水素燃料やバイオエタノールなどの燃料系から、化学品や樹脂材料などの汎用品まで幅広く作り出すことができます。
しかし、経済合理性や需要、技術ハードルの観点で、上記の流れの中で、どのようにCO2を再利用するのが最も賢いやり方なのかは現在議論されている段階です。
また2022年現在、技術開発段階であり、技術完成までまだまだ時間がかかる見通しです。
最後に
今回は、カーボンリサイクルCCUSの読み方と意味(バイオver) について書いてみました。
昨今、様々な国や、企業がCO2削減のために明確な目標を立て、取り組んでおります。
その目標達成のためには、CO2排出の少ない工場での製造プロセス改良が必要なものの、根本的にCO2の量を減らす技術はCCUSしかありません。
CCUSのバイオVerは、別記事にまとめております。
CCUSに限らず、材料の環境観点について様々な記事を書いております。
主に樹脂やゴム材料、材料リサイクルに関してわかりやすくまとめておりますので、皆さんのご参考になれば幸いです。
ゴムや樹脂材料でお困りなことがありましたら気軽にコメントいただければ、分かる範囲でご回答させていただきます。