今回は、アルミ・樹脂ダイキャスト金型の金型製作工程 について書きたいと思います。
アルミ・樹脂 ダイキャスト金型とは
金型は、樹脂製品の射出成形やブロー成形、アルミ製品のダイキャスト成形など、幅広く使用されています。
樹脂とアルミの成形方法は似ていて、溶かして液状化した材料(樹脂、アルミ)を、製品形状に彫られた金型に流し込み、金型を冷却することで、液状化下材料を固化させ製品を成形します。
そのため、不良のない製品を作るためには金型の技術が非常に重要です。
アルミ・樹脂 ダイキャスト金型 製作の流れ
金型製作は以下11工程で構成されます。
- 熱処理前加工
- 熱処理(焼入れ)
- 熱処理(焼戻し)
- ひずみ取り加工
- CAM作成
- MC加工
- 放電加工
- 追加加工
- 検査(測定)
- 組立て
- 完成
金型の制作工程を模式図化すると以下になります。
さまざまな工程によって、金型が作られているのがわかると思います。
アルミ・樹脂 ダイキャスト金型 製造工程
各工程の詳細は以下の通りです。
熱処理前加工
まずは金属のブロックから、金型のざっくりとした形状出しを行います。
熱処理を行うと、金属の強度が向上し、加工がしにくくなるため、熱処理前に大枠の加工を行います。
この工程を行うことで、熱処理後の加工時間が短縮でき、金型作成のトータル時間を短くすることができます。
熱処理(焼入れ)
金型の焼入れを行います。
温度は金型の種類や耐久年数にもよりますが、約1200℃で熱処理を行います。
これにより、金型の機械強度と硬度を向上させることができ、金型の耐久性(耐摩耗性)が向上し、長期的に金型を使用することができるようになります。
最近ではエコの流れがあり、電気高炉(電気炉)で熱処理(焼入れ)を行うようになってきています。
熱処理(焼戻し)
焼入れをした金属を、冷やしていきます。(焼戻し)
焼戻し方法はいくつかありますが、窒素を用いた冷却を行い、その後室内温度で冷却を行います。
焼戻しの目的は、焼入れで向上した金属の硬度を狙いとする硬度まで落とすことです。
これにより金型のじん性を向上させています。
ひずみ取り加工
金属ブロックの焼入れを行いますと、金属が微小ですが熱変形します。
そのため、金型のひずみをとることを目的とした金型の削り出しを行います。
CAM作成
CAM(キャム)とは、コンピュータ支援製造(Computer-aided manufacturing)のことで、パソコン上でNC工作機械の加工プログラムを作成するソフトウェアです。
(NC工作機械:NCとは数値制御(Numerical Control)という意味で、数値制御でコントロールされる工作機械のことです)
加工プログラムは作業者が工作機械に直接入力することもできるが、加工方法や形状が複雑な場合はとても時間がかかります。
そこで、パソコン上でプログラムを作り、工作機械に転送して加工するためのツールとして「CAM」が誕生しました。
CAMでは、CADで作成された形状に対し、「使用する工具」「工具の動かし方」「加工するスピード」などの情報を設定することで、ツールパスと呼ばれる工具の軌跡情報を作成します。
MC加工
MCとは、マシニングセンタ(Machining Center)のことです。
MCは、「穴をあける」「表面を削る」など多種類の金属加工を1台の機械で連続して実施できるNC工作機械です。
加工機をプログラムで指示することで、自動で精度良く金型を加工することができます。
放電加工
放電加工は、電気エネルギーを熱にかえて金属を溶かす工程です。
電気を通す金属であれば、どんな金属でも加工ができ、 切削加工では難しい微細な特殊加工をすることができます。
金型加工においては、深いリブ形状など、MC加工機では難しい加工を放電加工を用いて実施します。
追加加工
MC加工にて、機械の都合上加工できなかった加工を最後に行います。
金型固定方向を変えることで、MC加工できなかった方向からの穴形状加工などを行います。
検査(測定)
金型が狙いとした形状通りに加工できているかの検査を行います。
検査は接触式測定器で行い、寸法精度を細かくチェックしていきます。
検査はプログラム化された機械にて自動測定・検査を行います。
(非接触計測定器は、検査精度が低い問題や、細くて深い溝形状などは測定ができないため、通常非接触計測定器は使用しません)
組立て
金型には、オス型・メス型が存在し、また入れコマも多数あるため、それらを組合わせて、1つの金型に組み立てます。
完成
これにて金型作製の完了です。
最後に
今回は、アルミ・樹脂ダイキャスト金型の金型製作工程 について書いてみました。
製品開発をおこなっている人でも、金型がどうやって作られているのか理解している人が少ないと思います。
いくら開発したものが良いものであっても、金型がいまいちの出来であれば、製品の商品性が著しく低下します。
また、金型製作はブラックボックス化されるケースが多く、金型発注元に高額な金型製作費を請求されるケースが多々あります。
そのため、金型製作についてわかりやすく模式図でまとめました。
本記事が皆さんのご参考になれば幸いです。
主に樹脂やゴム材料、材料リサイクルに関してわかりやすくまとめておりますので、皆さんのご参考になれば幸いです。
ゴムや樹脂材料でお困りなことがありましたら気軽にコメントいただければ、分かる範囲でご回答させていただきます。