今回は、 樹脂着色向け透明材料一覧(ABS,AES,PMMA,PC樹脂等) についてまとめました。
材料着色 樹脂材料とは
樹脂材料に加飾する(色をつける)方法は、塗装、フィルムなど様々な方法があります。
最近では、大量のCO2を排出する塗装工程がエコではないという認識が広まり、塗装工程を使わない加飾方法が注目されています。
その代表的な方法が、材料着色というやり方です。
様々な材料や添加剤を配合するタイミングで、着色料も材料に混ぜ込み、色が着色されたペレットを作ることで、その後、射出成形など単純に成形をするだけで、狙いとした色に調色された製品を得ることができます。
樹脂の加飾方法一覧については、別記事にまとめております。
フィルム加飾については別記事にまとめております。
材料着色向け 樹脂材料の性質
材料着色樹脂として使用できる材料は限られます。
なぜならば、材料の透明性が高くないと、いくら綺麗な色に調色したとしても、綺麗な色の樹脂が作れないからです。
例えとして、濁った水に、綺麗な絵の具をとかしても、得られた水の色は濁った色になります。
一方で、透き通った水に、綺麗な絵の具を入れると、得られた水の色も綺麗な色になります。
そのため材料の透明性は、材料着色材にとって非常に重要な指標になります。
材料着色 樹脂材料一覧
世の中で製品化されている材料着色樹脂は以下になります。
- PMMA樹脂
- PC樹脂
- ABS樹脂
- AES樹脂
- ASA樹脂
- PP樹脂
各樹脂材料の特徴は以下表のようになります。
PMMA樹脂
PMMA樹脂の特徴は、非常に材料の透明性が高いことです。
材料の透明性は樹脂材料の中でもトップです。
そのため、着色剤を入れたときに、最も発色性が良く綺麗な色の材料を実現できます。
一方で耐衝撃性に劣るため、衝撃の入らないと想定される製品(部品)向けにしか使用することができません。
PC樹脂
PC樹脂の特徴は、透明性が高く、強度と耐衝撃性などの機械的特性に優れていることです。
しかし一方で、紫外線と熱で、材料が黄色味がかる難点があります。
成形時は綺麗に発色していたPC樹脂着色材も、紫外線劣化により、黄色味がかる変色を徐々にしていきます。
紫外線の影響のない製品(部品)向けに使用されるケースが多い材料です。
ABS樹脂
ABS樹脂の特徴は、強度や衝撃性などの材料物性に優れている点です。
透明性は、類似材料のAES樹脂、ASA樹脂よりも優れます。
しかし一方で、ABS樹脂に含まれるブタジエンゴムが紫外線で劣化するため、屋外環境下において、材料の劣化や変色が起こる難点があります。
そのため、紫外線の影響のない製品(部品)向けに使用される材料です。
AES樹脂
AES樹脂の特徴は、ABS樹脂と似ており、材料強度や衝撃性などの材料物性に優れる点です。
透明性はPMMA樹脂、PC樹脂、ABS樹脂よりも劣りますが、これといった難点のない材料であるため、屋外で使用される製品(部品)において、材料着色材として広く使われています。
ASA樹脂
ASA樹脂の特徴は、ABS樹脂、AES樹脂と似ており、材料強度や衝撃性などの材料物性に優れる点です。
AES樹脂と同様に、透明性はPMMA樹脂、PC樹脂、ABS樹脂よりも劣りますが、これといった難点のない材料であるため、屋外で使用される製品(部品)において、材料着色材として広く使われています。
ASA樹脂は、AES樹脂よりも衝撃性に劣るが、ASA樹脂はAES樹脂よりも耐薬品性に優れます。
この特徴を活かした使い分けにより、ASA樹脂が選定されます。
PP樹脂
PP樹脂の特徴は、機械物性バランスに優れ、非常に安価なことです。
一方で、透明性はあまり良くありません。
コスト重視の製品や、発色性が重要とされない製品向けに使用されます。
最後に
今回は、 樹脂着色向け透明材料一覧(ABS,AES,PMMA,PC樹脂等) についてまとめました。
樹脂の加飾方法について、依然として塗装で行うことが多いです。
しかし、塗装工程は大量のCO2とエネルギーを消費するため、できるだけ塗装工程を使用しないような流れになってきています。
樹脂材料に関することについて、他の記事でも分かりやすく書いております。
主に樹脂やゴム材料、材料リサイクルに関してわかりやすくまとめておりますので、皆さんのご参考になれば幸いです。
ゴムや樹脂材料でお困りなことがありましたら気軽にコメントいただければ、分かる範囲でご回答させていただきます。