プラスチックのリサイクル処分方法まとめ

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廃プラスチックのリサイクル処分方法

今回は、プラスチックのリサイクル処分方法まとめ について書きたいと思います。

プラスチックのリサイクル状況

昨今の環境意識の高まりにより、化石燃料を原料として生成されるプラスチックに関して、使用量の削減や、廃止が強く求められる社会になりました。

最近では、スターバックで、プラスチック製のストローが紙製のストローに変わり、コンビニのコーヒーでは、ストローではなく、そのまま飲める形状の蓋に変更になりました。

今後、さまざまな製品において、プラスチック使用量削減が進んでいくことが考えられます。

さらに、どうしてもプラスチックを使用しないと成り立たない製品(家電、自動車)については、できるだけプラスチックをリサイクルして、廃プラスチックの再利用をする取り組みが進められています。

プラスチック廃棄の課題

プラスチックのリサイクル需要が高まり、さまざまなところで、使用済みプラスチック(廃プラスチック)のリサイクルの取り組みがなされていますが、まだまだリサイクルが大きく拡大していないのが現状です。

ではなぜ、廃プラスチックのリサイクルが拡大しないのか!?

それは、廃プラスチックのリサイクルには以下の課題があるからです。

  • プラスチックの種類が大量にある
  • 集められる廃プラスチックは大量の種類のプラスチックが混合している

プラスチックには、食品トレーに使われるポリプロピレン樹脂(PP樹脂)、スーパーの袋に使われるポリエチレン樹脂(PE樹脂)、家電製品のカバーに使われる(ABS樹脂)など、言い出したらキリがないほど大量の種類が存在します。

そのため、材料に詳しくない一般の方が、これらのプラスチックを分別することは不可能で、その結果、廃プラスチックは大量の種類のプラスチックが混合した状態で集められる状況になっています。

そして、混合プラスチックをリサイクルするためには、分別をして単一のプラスチック材料に分けることが必要ですが、化石燃料から作り出す生産コストの安いプラスチックに対して、リサイクル工数のかかった廃プラスチックはコストメリットがありません。

そのためほとんどの企業にとって、廃プラスチックのリサイクルに取り組む価値がありませんでした。

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プラスチック リサイクルの流れ

しかし最近では、今までリサイクルが難しかった混合プラスチックのリサイクルが、技術進化により大きな発展を遂げています。

以下に一例ですが、混合プラスチックの分別手法を模式図で表しました。

廃プラスチックのリサイクルの流れ
廃プラスチックのリサイクルの流れ

(ここでは、PP樹脂、ABS樹脂、PS樹脂の混合プラスチックを想定して示しております)

上記模式図のように、混合プラスチックは、単一のプラスチックの材料に分別することができます。

プラスチックリサイクル 異物除去

まず初めに行うことは、異物の除去で、以下の異物除去を行います。

  1. 粉塵除去
  2. 電気除去
  3. 磁石除去

集められた混合プラスチックには、プラスチック以外の成分が含まれています。

その異物を「粉塵除去装置」で粉塵を取り除きます。

その後、混合プラスチックに電気を流し、電気が通電する金属成分を取り除きます。

また場合によっては、磁石を使って金属成分を取り除くこともします。

混合プラスチックの異物除去

プラスチックリサイクル 比重分類

異物が除去された混合プラスチックに対して、以下の比重分類を行います。

  1. 塩水分離
  2. 真水分離

比重の違いによりプラスチックの分類を行います。

塩水分離では、低比重プラスチック(ここではPP樹脂、ABS樹脂、PS樹脂)と高比重樹脂(強化繊維添加樹脂など)に分けます。

その後、真水分離で、水に浮くオレフィン樹脂(PP樹脂)と、水に沈む樹脂(ABS樹脂、PS樹脂)に分けます。

混合プラスチックの比重分離

プラスチックリサイクル 静電選別

ABS樹脂とPS樹脂の分離は、静電気で行うことができます。

ABS樹脂とPS樹脂は、静電気によって、プラスとマイナスの電化に分かれるため、これらの材料を完全に分離されるとこができます。

混合プラスチックの静電分離

プラスチックリサイクル 赤外線(色選別)

各プラスチック成分に分離した後、赤外線カメラにて色の選別を行います。

工場内で材料の色によって自動的に分別ができるラインを持っているメーカもあります。

本工程により、ブラック系、ホワイト系などの色分別をすることができます。

(カメラの精度によって、ブラック、ホワイト、グレーなどより細かく分けることも可能です)

プラスチックの赤外線色選別

プラスチックリサイクル 固定燃料化

どうしても分解できな廃プラスチックは、固定燃料(RPF)にされます。

「RPF」とは Refuse derived paper and plastics densified Fuel の略称であり、マテリアルリサイクルが困難な古紙や、廃プラスチック類を主原料とした高品位の固形燃料です。

石炭やコークス等、化石燃料の代替として、使用されます。

廃プラスチックの固定燃料RPF化

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最後に

今回は、廃プラスチックのリサイクル処分方法 について書いてみました。

廃プラスチックの分別技術進化により、プラスチックのリサイクルが進んできております。

主に樹脂やゴム材料、材料リサイクルに関してわかりやすくまとめておりますので、皆さんのご参考になれば幸いです。

ゴムや樹脂材料でお困りなことがありましたら気軽にコメントいただければ、分かる範囲でご回答させていただきます。

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