今回は、ゴム材料JIS試験(環境・耐摩耗・劣化など)についてまとめました。
インターネットで試験規格を調べていると、一覧でまとめられているものがなく不便に感じていたため、今回一覧の表にまとめました。
ゴム材料 テスト規格
ゴム材料を選定する時、あるいは新規でゴム材料を開発する時、その材料が狙いとする材料物性値を満足するか確認する必要があります。
テスト方法は、全世界で統一のものでないと材料物性の比較ができないため、以下の統一規格が存在します。
世界標準規格
- ISO規格(International Organization for Standardization:国際標準化機構)
- ASTM規格(American Society for Testing and Materials:米国試験材料協会)
日本標準規格
- JIS規格(Japanese Industrial Standard:日本産業規格)
ISO規格
国際標準化機構が制定する国際規格です。
日本の工業製品では一般的にこのISO規格が使われる場合が多いです。
ASTM規格
アメリカで生まれた企画で、アメリカでの工業製品や東南アジアではASTM規格が主流です。
そのためアメリカや東南アジア向け製品ではASTM規格での評価が必要です。
JIS規格
JIS規格は外国語で作成されているISO規格を日本語に訳したものです。
そのため、内容も国際的基準であるISO規格に準拠しており、ISOとJISによる規格内容の違いはありません。
JISはオンラインで検索して中身を見ることができます。
ゴム材料試験 一覧
ゴムの一般的な試験は以下の7つあります。
- 硬さ試験
- 引張り試験
- 熱老化試験
- オゾン劣化試験
- 耐摩耗試験
- 圧縮永久ひずみ試験
- 環境試験
一般的なゴム材料試験と、規格No.を表にまとめたものが以下になります。
ゴム 硬さ試験
硬さ試験の規格は、JIS K 6253です。
硬さ試験の規格は、3手法あります。
- 国際ゴム硬さ
- デューロメータ硬さ
- IRHDポケット硬さ
各手法でゴムの硬さは若干異なるため、同じ試験方法で実施する必要があります。
ゴム 引張り試験
引張り試験の規格は、JIS K 6251です。
引張り試験はゴムの強度や剛性を測る上で最も重要で、一般的なテストになります。
ゴムの引張り試験については、別記事にまとめております。
ゴム 熱老化試験
耐熱老化試験の規格は、JIS K 6257です。
ゴムは長期的な熱環境下で、ゴムの未加硫部の加硫が進み、加硫が完了すると、熱による分子鎖切断の熱劣化が進みます。
そのため、耐熱環境下で、且つ長期的に使われるゴム製品(部品)においては、耐熱老化試験は非常に重要な試験になります。
ゴムの耐熱老化特性について、別の記事にわかりやすくまとめております。
ゴム オゾン劣化試験
オゾン劣化試験の規格は、JIS K 6259です。
ゴム材料は、大気環境下のオゾンによって容易に劣化します。
そのため、老化防止剤をゴムに添加することで、オゾン劣化を防止できるのですが、老化防止剤が問題なく効果を発揮するかについてテストして確認することが重要です。
ゴムのオゾン劣化のメカニズムに関して、別の記事にまとめております。
老化防止剤の効果や選び方については、こちらの記事で詳しくまとめております。
ゴム 耐摩耗試験
耐摩耗試験の規格は、JIS K 6264です。
ゴム材料は、他部品との緩衝材として使われることが多いため、耐摩耗性試験で摩耗量をテストしておくことが重要です。
ゴムの摩耗モードについては、こちらで詳しくまとめております。
ゴムの耐摩耗性向上手法についてもまとめております。
ゴム 圧縮永久ひずみ試験
圧縮永久ひずみ試験の規格は、JIS K 6262です。
耐熱環境下で、長期的にゴムにひずみをかけ続けた時のゴムのへたりを見る試験です。
ゴム 環境試験
ゴム材料は、環境条件によって物性が大きく変わります。
低温化では、引張り強度・剛性は大きくなるが、引張り破断伸びが小さくなります。
高温化では、引張り強度・剛性は小さくなるが、引張り伸びは大きくなります。
そのため、使われる製品の環境条件での試験が必要になります。
環境試験の最も一般的な試験は、試験温度を変えた引張り試験になります。
最後に
本日は、ゴム材料JIS試験(環境・耐摩耗・劣化など) についてまとめました。
今回まとめた表を見ていただければ、どのような規格で試験をすべきか簡単に見つけることができます。
樹脂の材料試験規格についてもまとめております。
ゴムや樹脂材料でお困りなことがありましたら気軽にコメントいただければ、分かる範囲でご回答させていただきます。