今回は、ゴム添加カーボンブラックの種類と特性 について書きたいと思います。
ゴム材料に添加するものとして最も代表的なものとして、カーボンブラック(CB)があります。
カーボンブラックをゴムに添加する目的は、代表的なものとしてゴム材料の補強があります。
材料の補強と言っても、カーボンブラックの種類によって大きく異なります。
そこで、カーボンブラックの種類についてまとめました。
カーボンブラックの構造
カーボンブラックは、球体の粒をイメージされると思いますが、実際は以下のような球体カーボンブラックの粒が連なった構造をしております。

これらのカーボンブラックの粒は強固に結合(凝集)しており、この粒の連なりは、せん断力によりさらに微細化されることはありません。
カーボンブラックの特徴は以下2点です。
- ストラクチャー長さ
- 粒径
カーボンブラックの特性は、カーボンブラック粒の連なった長さの「ストラクチャー長さ」と、カーボンブラック粒単体の粒径(比表面積)で決まります。
カーボンブラックを開発・生産するメーカでは、これら指標の異なるカーボンブラックのラインナップがあり、用途によって使い分けをしております。
カーボンブラック ストラクチャー長さ
ストラクチャー長さは、カーボンブラック粒の連なり長さです。
イメージ図は以下になります。

DBP吸収量
ストラクチャー長さは、「DBP吸収量」で表現されます。
DBP吸収量とは、カーボンブラック粒子間の空隙を満たすに要するDBP(Dibutyl phthalate)の量のことです。
そのため、DBP吸収量はストラクチャー長さを示す指標になります。
DBP吸収量とストラクチャー長さの関係
DBPは油の一種で、ストラクチャーが長いカーボンブラックほど、カーボンブラックの粒と粒の間が疎になり、内部空間ができてスカスカな状態になります。
そのため、ストラクチャー長さが大きほど、内部の空間に油がたくさん吸収され、DBP吸収量が大きいほど、ストラクチャー長さは長くなります。(以下イメージ図)

カーボンブラック 比表面積(粒径)
比表面積(粒径)は、カーボンブラックの粒1つの大きさを指します。
カーボンブラックの粒を粒径で表現する場合と、比表面積[mm2/g]で表現する場合があります。

比表面積測定方法
比表面積(粒径)は、カーボンブラックへの「窒素吸着比表面積」や「ヨウ素吸着量」で測定することができます。
カーボンブラック粒子表面に窒素、或いはヨウ素を圧力をかけて付着させていき、吸着量の安定した値がカーボンブラック粒の比表面積に該当します。(以下イメージ)

粒径と比表面積の関係
カーボンブラックの粒子径と比表面積の関係は以下のようになります。

カーボンブラックの粒径が大きくなるほど、カーボンブラックの比表面積は小さくなります。
カーボンブラック 物性影響
カーボンブラックのストラクチャ長さや粒径が及ぼす物性への影響について、別記事にまとめております。
カーボンブラックのストラクチャ長さや粒径は、ゴムの動倍率や減衰性能に大きな影響を及ぼします。
ゴムの動倍率や減衰性能への影響について、別記事にまとめております。
最後に
今回は、ゴム添加カーボンブラックの種類と特性 について書きました。
別記事で、カーボンブラックのストラクチャー長さと粒径が及ぼす補強効果についてまとめたいと思います。
別記事でゴム材料に関することをまとめておりますので、みなさんの御参考になれば幸いです。
主に樹脂やゴム材料、材料リサイクルに関してわかりやすくまとめておりますので、皆さんのご参考になれば幸いです。
ゴムや樹脂材料でお困りなことがありましたら気軽にコメントいただければ、分かる範囲でご回答させていただきます。