今回は、樹脂引張りJIS試験の試験条件と計算式(弾性率・強度・伸び)についてまとめました。
何か試験をしようと思ったときに、試験条件を確認されますよね。
その時に、オンラインや、紙のJISを見て、試験条件を確認するのがとても面倒ですよね。
そのため、JISから要点だけ抜き取った、樹脂材料の引張り試験方法についてまとめました。
一般的な樹脂材料の試験規格の一覧については、別記事にまとめております。
樹脂の引張りJIS試験条件
JIS規格
樹脂の引張り試験規格は、以下の通りです。
規格:JIS K 7161 プラスチックー引張特性の求め方
樹脂材料の曲げ試験は別記事にまとめております。
樹脂材料の衝撃試験まとめはこちら
試験機
試験機は、引張試験ができる島津製作所のオートグラフが一般的だと思います。
樹脂の一般的な引張強度、最大伸びの観点から以下を推奨します。
特殊な樹脂を評価する場合は、一度材料の予想物性を確認の上、ロードセルの選定をしてください。
*ダンベル試験片 タイプAの場合

試験片
試験片形状は、以下が推奨されています。
試験片規格:JIS K 7139 プラスチックー試験片
試験片形状:ダンベル試験片 タイプA

試験片は、成形後 23±2℃、湿度50±10% 環境下で、16h以上 状態調節をおこなったものを使用してください。
試験条件
引張試験の試験条件は以下のとおりです。

引張り速度
JISではいくつかの候補が指定されています。
速度によって試験結果は変わりますので、比較したいデータの測定条件と合わせる必要があります。
私の感覚では、試験速度は20〜100mm/minで測定されることが多いです。
標線間距離
試験片の伸びを測定する箇所の距離になります。
樹脂では、物理的に伸びを測定する伸び計を使用されることが多いですが、動画で測定するカメラ撮影式伸び計が用いられる場合もあります。
樹脂の引張り試験結果 計算式
引張り試験で重要な物性は、以下3つです。
- 引張応力(破断応力)
- 破断ひずみ
- 弾性率
樹脂の引張り試験結果の計算式は以下になります。

引張り試験においては、応力を算出する引張応力と、ひずみを算出する破断ひずみ、弾性率の3つの計算式を抑えておけば問題ないです。
引張り応力(強度)
引張り応力(強度)は、荷重÷試験片断面積になります。
ダンベル1号試験片であれば、断面積Aは40mm2(幅10mm×厚さ4mm)となります。
引張り試験において、試験片が引き伸ばされ、試験片断面積は徐々に小さくなりますが、一般的には、初期の試験片断面積で計算が行います。
製品の使われ方から、断面積が小さくなること計算式に反映して算出する「新応力」が重要と考えられるものもあります。

破断ひずみ(伸び)
破断ひずみは、標線間距離の増加÷初期標線間距離で算出できます。
JIS1号ダンベル試験片の場合、標線間距離が75mmでの計算になります。
引張り試験機に伸び計が取り付けられていない場合は、引張り試験機の変位量から破断ひずみを計算される場合もあります。

弾性率
弾性率は、引張り試験のごく初期状態である、ひずみ0.0005%と0.0025%の時の応力から算出します。
試験片のばらつきが大きい際には、ひずみ0.0025%以上の安定したところで算出します。

最後に
今回は、 樹脂引張りJIS試験の試験条件と計算式(弾性率・強度・伸び) についてまとめました。
自身が久しぶりに試験を行う際に、毎回JISを見直すことが面倒だった経験があり、またオンラインにこういったまとめた情報がなかったため今回記事にしてみました。
主に樹脂やゴム材料、材料リサイクルに関してわかりやすくまとめておりますので、皆さんのご参考になれば幸いです。
ゴムや樹脂材料でお困りなことがありましたら気軽にコメントいただければ、分かる範囲でご回答させていただきます。
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