今回は、ゴム老化防止剤(WAX)の成分とブルームメカニズム についてまとめました。
ゴムのオゾン劣化
ゴムは大気中に放置されると、いとも簡単に劣化が進みます。
ゴムの劣化に代表されるのは、オゾン劣化で、大気中に存在するオゾンが、ゴム分子を切断し、その結果ゴムの表面に亀裂が大量に発生します。
以下、オゾン劣化したゴム表面イメージです。

この現象について、海岸や公園に放置されたゴム製品や、港で緩衝材で使われている古タイヤの表面に、亀裂が入ったものを見たことはないでしょうか。


これがまさしく、ゴムのオゾン劣化になります。
オゾン劣化メカニズムについては、別記事に詳細をまとめております。
オゾン劣化を防ぐには
ゴムのオゾン劣化を防ぐには2つ方法があります。
- 老化防止剤(3C,6Cなど):ゴムがオゾンに攻撃された際にオゾンを吸収する
- 老化防止剤(WAX):ゴム表面をコーティングして守る
老化防止剤(3C,6Cなど)の役割
老化防止剤(3C,6C)は、オゾンからゴムへの攻撃を ゴムの代わり老化防止剤(3C,6C)が受けることで、ゴムを守る役割をします。
つまり、老化防止剤(3C,6C)のメカニズムは、老化防止剤(3C,6C)がオゾンと化学反応をすることで、オゾンの攻撃を無効化しています。
老化防止剤(3C,6C)は、化学的にゴムを保護していると言えます。
老化防止剤(3C,6C)に関しては別の記事に詳細をまとめております。
老化防止剤(WAX)の役割
本記事で、詳細について書きますが、老化防止剤(WAX)は、ゴム表面に保護膜を形成することでオゾンの攻撃からゴムを守ります。
老化防止剤(3C,6C)が化学的にゴムを守っているのとは異なり、老化防止剤(WAX)は物理的にゴムを守ります。
老化防止剤WAXとは
本記事では、老化防止剤(WAX)について詳細をまとめました。
老化防止剤(WAX)の役割
ゴム表面にWAXの保護膜を形成させることで、物理的にオゾンがゴムに接触することを防ぎ、ゴムのオゾン劣化を防止します。
ゴム材料に添加したWAXは、熱をかけることで、ゴム内からゴム外へ析出します。
それによりゴム全体をWAXの保護膜で覆うことができます。
以下がイメージ図になります。

ゴムに添加したWAXは、大気中の熱に大きな影響を受けます。
ゴムが温められると、WAXがゴム内からゴム表面に析出し、ゴム表面にWAXの保護膜を形成します。
そのため、ゴムとオゾン(O3)間にWAXの保護膜が介在するため、オゾンがゴムに直接触れることがなくなり、ゴムのオゾン劣化を防止できます。
老化防止剤WAXの課題
しかし、老化防止剤WAXには課題があります。
人や動物、物理的な影響による傷により、WAX保護膜が拭われてしまう場合、ゴムがオゾンに対して剥き出しになってしまいます。
以下がイメージ図です。

この場合、オゾンはゴムへ攻撃し、ゴムのオゾン劣化が進行してしまいます。
老化防止剤WAXの課題対策
物理的なWAX保護膜が拭われることを懸念して、一般的に老化防止剤WAXと合わせて、もう一つの老化防止剤(3C,6C)が添加します
老化防止剤(3C,6C)は、オゾンとゴムが反応してオゾン劣化の進行を防ぐため、老化防止剤(3C,6C)がオゾンと代わりに反応し、ゴムの劣化を防ぎます。
老化防止剤(3C,6C)については別記事でわかりやすくまとめております。
老化防止剤(WAX) 成分・ブルーム
老化防止剤(WAX)には、さまざまな種類があります。
大きく分けると以下2種類のWAXがあります。
- パラフィンワックス
- マイクロワックス
これらのWAXは分子量が異なります。
分子量が多いいほど、融点が高くなり、その結果ブルーム(WAXの析出速度)が遅くなります。
一方で分子量が小さいと、融点が低くなり、ブルーム速度は遅くなります。
WAXの成分とブルーム速度については別の記事で詳細をまとめております。
最後に
今回は、ゴム老化防止剤(WAX)の成分とブルームメカニズム についてまとめました。
ゴムに老化防止剤WAXを添加することで、ゴムをオゾンから守り、オゾン劣化を防ぐことができます。
その他、樹脂材料やゴム材料についてわかりやすくまとめております。
よろしければ他の記事も読んでいただけると幸いです。
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