樹脂材料の分子量分析に向けた添加剤分離工程

樹脂材料の分子量分析に向けた添加剤分離工程 樹脂 ゴム 材料
樹脂材料の分子量分析に向けた添加剤分離工程

今回は、 樹脂材料の分子量分析に向けた添加剤分離工程 について書きたいと思います。

分子量分布とは

樹脂は分子量の分布を持っており、同じ材料であっても分子量が異なることで、材料物性は大きく異なります。

特に樹脂材料は、熱と紫外線により、高分子鎖が切断され低分子鎖になっていき、それに伴い分子量分布は変化します。

分子量分布について詳細を別記事に書きましたのでご参考ください。

分子量測定 重要性

樹脂の分子量は、材料の機械的特性や材料の劣化状態を理解するために非常に重要な指標になります。

そのために、樹脂材料の分子量測定をさまざまな方法を使って実施されます。

樹脂材料の分子量測定手法は以下記事にまとめております。

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分子量測定 前処理工程

分子量測定 課題

一般的に樹脂材料は「単一樹脂材料」であることは少なく、さまざまな材料が混ざり合った「複合材料」であることが多いです。

以下に樹脂複合材料のイメージ図を記します。

樹脂複合材料_配合率イメージ

そのため分子量測定を行うためには、複合材料から、以下のように単一樹脂材料まで、分離させる必要があります。

樹脂複合材料_分離_イメージ

樹脂複合材料分離プロセス

樹脂複合材料のプロセスについて、PP樹脂複合材料の例を記します。

以下がPP樹脂複合材料のイメージになります。

メイン材料のPP樹脂に、オレフィン系添加ゴムと、フィラーが入った複合材料です。

PP樹脂複合材料_配合比_イメージ

このPP樹脂複合材料を各材料に分離する工程が以下になります。

PP樹脂複合材料_材料分離工程

比重分離

まずは比重分離を行い、樹脂成分(PP樹脂、添加ゴム)とフィラーに分離します。

PP樹脂複合材料_比重分離工程

PP樹脂、オレフィン系後添加ゴムは比重が1.0以下であるため水に浮きます。

フィラーは、比重が1.0以上であるため、比重によって分離することができます。

比重分離工程により以下2材料に分けることができます。

  • PP樹脂複合材料(PP樹脂、オレフィン系添加ゴム)
  • フィラー

溶媒分離

次に、溶媒分離にて、PP複合樹脂材料(PP樹脂、オレフィン系添加ゴム)を2材料に分けます。

PP樹脂複合材料_溶媒分離工程

溶媒分離は、以下2種類の溶媒いずれかによって行います。

  • オルト-自クロロベンゼン(ODCB)
  • キシレン

オレフィン系添加ゴムは、本溶媒に溶解する為、PP樹脂複合材から、PP樹脂のみを抽出することができます。

これによりPP樹脂単体を取り出すことができました。

分子量測定 GPC

最後に分離したPP樹脂を分子量測定測定します。

PP樹脂複合材料_分離手法_分子量測定GPC
PP樹脂複合材料_分離手法_分子量測定GPC

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最後に

今回は、樹脂材料の分子量分析に向けた添加剤分離工程 について書いてみました。

樹脂の分子量測定は、測定方法について詳しい方は多いかと思いますが、あまり触れられることのない、分子量測定前の複合材料から単一樹脂材料を取り出す前処理工程についてまとめてみました。

今回の記事が皆様のご参考になれば幸いです。

その他、樹脂材料やゴム材料についてわかりやすくまとめております。

よろしければ他の記事も読んでいただけると幸いです。

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