今回は、樹脂の紫外線・オゾン劣化メカニズム についてものすごく簡単にまとめました。
世の中にプラスチック製品は溢れかえっていますが、屋外に放置されたプラスチック製品は、経年劣化により容易に割れてしまいます。
その劣化のメカニズムについてものすごく簡単にわかりやすくまとめました。
プラスチック劣化
プラスチックをはじめとした有機材料は、必ず劣化します。
有機材料の劣化の原因は、以下が挙げられます。
- 熱
- 光(紫外線、赤外線等)
- オゾン
- 水(湿度)
- 薬品
そのため、有機材料を使った製品を開発する際には、必ず上記劣化原因に対して対策をする必要があります。
ゴムの主な劣化原因となるオゾン劣化メカニズムについては別の記事にまとめております。
■理系エンジニア特化 転職サイト「アカリク」
プラスチック劣化 メカニズム
プラスチックの劣化のメカニズムは以下の流れで起こります。
- ラジカル生成
- ペルオキシラジカル生成
- 分子鎖切断
高分子であるプラスチック製品が、劣化により分子鎖が切断され、低分子になることで劣化が進みます。
プラスチックの劣化のフローチャートで表すと以下になります。
(ポリエチレン材料で構造式の変化も書いています)

ラジカル生成

まず初めに、高分子材料(ポリエチレン)は屋外環境である紫外線と熱の影響により、水素原子が切断されます。
そして、水素原子が取れたポリエチレン骨格の炭素原子にラジカルが発生します。
ラジカルは不安定状態ですので、容易に多材料と反応し化合物を生成します。
ペルオキシラジカル生成

次に、ポリエチレン骨格のラジカルが生成した炭素原子に、大気中の酸素が反応します。
これによりペルオキシラジカル(ROO・)が生成されます。
そして不安定なペルオキシラジカルは水素と結合をし、安定的なヒドロペルオキシド(-OOH)を作ります。
分子鎖切断

紫外線や、熱の影響により、ペルオキシラジカルが、さらに細かく分解されます。
このプロセスで、カルボニル基の生成、ヒドロキシラジカルの生成、分子鎖が切断されたポリエチレンに再度ラジカルが発生します。
これにより分子量分解(劣化)を進めるラジカルが発生し続けるため、プラスチックはどんどんと分子鎖が切断され、不可逆的な劣化していきます。
■理系エンジニア特化 転職サイト「アカリク」
最後に
今回は、樹脂の紫外線やオゾンによる劣化メカニズム についてわかりやすくまとめました。
プラスチック製品は紫外線と熱の影響により、容易に劣化が進みます。
そのため劣化で重要になってくるのがラジカルの発生で、ラジカルが発生しないようにすることや、ラジカルが発生し続けるプロセスを遮断するような 耐候処方剤の添加が非常に重要になってきます。
本内容が皆様のご参考になれれば幸いです。
主に樹脂やゴム材料、材料リサイクルに関してわかりやすくまとめておりますので、皆さんのご参考になれば幸いです。
ゴムや樹脂材料でお困りなことがありましたら気軽にコメントいただければ、分かる範囲でご回答させていただきます。
■理系エンジニア特化 転職サイト「アカリク」
■化学系最大級の本サイトでの広告等の御依頼がございましたらご連絡ください