今回は、NVH材料(繊維系・発泡系)の周波数と吸音率の関係 について書きたいと思います。
自動車や飛行機など、輸送機械では、車内快適性のため、外部からの騒音をできるだけカットする必要があります。
車外騒音がそのまま車内に入ってくると、乗車している人にとって、うるさくて不快になります。
そこで、騒音をカットするためのNVH素材が非常に重要になってきます。
静粛性の定義 NVH
自動車用語に NVH という言葉があります。
NVHが優れていると、静粛性が良い そんな言い方をします。
NVHは、Noice・Vibration・Harshness の略です。
- Noice : 騒音
- Vibration : 振動
- Harshness:振動音・衝撃音
つまり、静粛性の指標であるNVHが良いと、車内の快適性がいいということになります。
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NVHの種類
Noice ノイズ
騒音には、以下2種類があります。
- 乗り物外からの騒音
- 乗り物の騒音
乗り物外からの騒音
自動車に乗車していると、車外の工事している音、電車の音、野外広告など、外からさまざまな音が聞こえてきます。
部屋の中にいると聞こえない音でも、建物より静寂性の劣る車ではたくさんの外部音が耳に入ってきます。
乗り物の騒音
自動車に乗っていると、自動車の動力源となるエンジン音や、風をきるブオーンといった自動車と空気の空気摩擦音が発生します。
電気自動車は、エンジンではなく、静寂性に優れるモーターであるため、室内の騒音は小さいことに気がつくかと思います。
Vibration バイブレーション
振動にも2種類あります。
- 外部環境からの振動
- 乗り物動力からの振動
外部環境からの振動
自動車に乗っていると、路面状況により車内に振動が伝わってきます。
例えば、石畳の路面を走行した時に、ガタガタガタガタという振動が車内に伝わってきます。
一方で高速道路などの平坦な道では、車内に振動はそれほど伝わってきません。
乗り物動力からの振動
乗り物動力源から、車内に振動が伝わってきます。
ガソリン車のエンジンは、動作をすることで構造上振動し続けます。
その振動が車内へ伝わってきます。
電気自動車では、エンジンがなく、振動が限りなく小さいため、車内の静粛性に優れます。
Harshness ハーシュネス
振動音・衝撃音にも、2つの種類があります。
- 外部環境からの振動音・衝撃音
- 乗り物動力からの振動音・衝撃音
外部環境からの振動音・衝撃音
路面状態によって、音が発生します。
例えば前述した、石畳上の走行時には、ボコボコボコボコといった音が発生します。
また段差を乗り上げた際に、ボコッと言った音が発生します。
乗り物動力からの振動音・衝撃音
乗り物動力からは、特に振動音が聞こえてきます。
信号で停車中のアイドリング時に、振動と一緒にブルブルブルブルといった音が発生します。
特にエンジンサイズの大きいバスではこの音が大きいため気がついている方が多いはずです。
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NVHを防ぐには
NVHを防ぐためには、NVH発生源と乗り物の乗客の間に壁を作る必要があります。
頑丈な壁に覆われたビルでは、外からの音が遮断されており、ビルに入った瞬間に外の騒音が聞こえなくなる、あるいは限りなく小さくなります。
このように外部の音を遮断する割合を吸音率と呼びます。
吸音率は、以下の式で表され、1に近いほど吸音性能が良いとされます。
吸音率 = 室内音 / 外部音
自動車、電車、新幹線、飛行機などあらゆる乗り物で、NVHを防ぎ、吸音率を高めるため、NVH材料が使われます。
NVH材料とは
NVH材料は大きく分けて以下2種類あります。
- 発泡体
- 繊維
各NVH材料の特徴
特徴は以下の通りです。

発泡体のPUフォームは、繊維のグラスウール・フェルトと比較して、吸音率(1kHz)はよく、重量も軽い特徴があります。
繊維は、グラスウールとフェルトの2種類があり、グラスウールの方が、多少吸音率(1kHz)に優れます。
PUフォームは高い吸音率・軽量の特徴はあるものの、グラスウール・フェルトと比較して高価です。
各NVH材の吸音率と周波数の関係
PUフォーム・グラスウール・フェルトの各NVH材は、以下のような吸音率と周波数の関係があります。
厚み20mmの結果です。

遮断したい周波数領域の吸音率が優れる材料選定が必要です。
周波数300〜1000Hzでは、PUフォームが最も吸音率に優れます。
周波数1100〜6000Hzでは、グラスウールが最も吸音率に優れます。
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最後に
今回は、NVH材料(繊維系・発泡系)の周波数と吸音率の関係 について書きました。
建物や乗り物において、室内・車内快適性の要求は高まってきております。
それに伴い、NVH材料の要求も高まってきております。
本記事が皆様のご参考になれば幸いです。
その他樹脂材料やゴム材料についてわかりやすくまとめておりますので、ご参考ください。
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