今回は、めっき金属とABS樹脂密着メカニズム について書きたいと思います。
めっきとは
めっきとは、金属や非金属などの固体表面に金属膜を作る技術の総称です。
英語では、「Plating」と呼ばれます。
めっきの目的は、装飾するため、防錆のため、機能性付与するための3つです。
めっきの基礎的な内容は別記事にまとめております。
めっき 処理方法
めっき層構成
めっきは以下のような層構成になっております。
今回は、基材と銅メッキの工程について書きたいと思います。
めっき処理方法
めっき処理方法は、以下5つのプロセスで行われます。
- 基材表面処理
- 表面の活性化
- 表面の導電化
- 表面の下地処理
- 銅めっき化
基材表面処理
基材(ABS樹脂:アクリロニトリル・ブタジエンゴム・スチレン)表面を、硫酸とクロム酸混合液を浸し、基材表面のブタジエンゴムを溶出します。
この結果、基材表面のブタジエンゴムがいた場所が溶けていなくなり、基材表面は凹形状になります。
この凹形状が、めっき材とのアンカー効果をもたらし、めっきの密着性を向上する役割をします。
表面の活性化
基材表面に固体のPd(パラジウム)触媒を付与します。
反応式は以下の通りです。
Sn2+ → Sn4+ + 2e
Pd 2+ + 2e → Pd
表面の導電化
化学ニッケルめっきをPdと反応させ、基材表面を導電化します。
この工程においても、基材表面は凹形状になっております。
表面の下地処理
ストライクニッケルめっき、あるいはストライク銅めっき化を行います。
これにより、基材側とめっき側との密着性を向上させています。
銅めっき化
最後は、めっきの一番下位層となる銅めっき化を行います。
めっき 種類一覧
めっきは、装飾・防錆・機能性付与の3つの役割があります。
めっきの目的に合わせて、めっき手法は、湿式・乾式など様々な方法があります。
めっきの種類一覧について、別記事でまとめております。
めっき化 原理
めっき化は、純金属と部品間での酸化還元反応によって行われます。
この反応により、純金属が部品表面へ移動し、部品表面にめっき化することができます。
めっきか工程は、4つのプロセスに分かれており、詳細の内容については別の記事にまとめております。
めっき 層構成
めっきは、部品表面から見るとめっき層は1層に見えますが、めっきの断面を見ると複数の層によって構成されています。
めっきの層は、銅めっき層、ニッケルめっき層、クロムめっき層などがあり、それぞれの特徴があります。
めっきの層構成については別記事でまとめております。
めっき化 課題
めっき化には、めっき膜厚のばらつき の課題があります。
めっき化は、電極と部品の距離がめっき膜厚に大きな影響を与えます。
しかし、めっき化工程は、大量生産向けに製造ラインが作られていることもあり、電極と部品の距離を厳密に管理することが難しいです。
めっき化の課題については別記事にまとめております。
最後に
今回は、めっき金属とABS樹脂密着メカニズム について書いてみました。
主に樹脂やゴム材料、材料リサイクルに関してわかりやすくまとめておりますので、皆さんのご参考になれば幸いです。
ゴムや樹脂材料でお困りなことがありましたら気軽にコメントいただければ、分かる範囲でご回答させていただきます。