ゴム・樹脂材料の摩擦力の考え方

ゴム・樹脂材料の摩擦力の考え方 樹脂 ゴム 材料
ゴム・樹脂材料の摩擦力の考え方

今回は、ゴム・樹脂材料の摩擦力の考え方 についてまとめました。

摩擦力とは

ゴム材料が使われる製品の代表例として自動車のタイヤが挙げられます。

自動車のタイヤは、エンジンやモーターからの動力をタイヤに伝え、タイヤが地面との摩擦力により自動車が動くことができます。

タイヤと地面の摩擦がない状態というのは、冬の凍った路面のことを言います。

冬に凍った道路を自動車で走行している際に、タイヤが空転してしまうですとか、ブレーキを踏んでも自動車が止まらないといったことは、タイヤと地面の摩擦がないためです。

そのため、ゴム材料の摩擦力は非常に重要です。

摩擦力の考え方

摩擦力計算式

摩擦力は以下の式で表すことができます。

摩擦力 = 摩擦係数(定数) × 荷重

摩擦力は、付加した荷重に比例します。

(物質の接触面積や、速度の影響はありません)

摩擦力の種類

摩擦力には、静摩擦力と動摩擦力の2種類があります。

  • 静摩擦力
  • 動摩擦力

静摩擦力の係数を静摩擦係数、動摩擦力の係数を動摩擦係数と言います。

静摩擦力は、静止している物質を動かして滑りが発生するまでの摩擦力、動摩擦力は、滑らせ続ける間の摩擦係数です。

静摩擦力 = 静摩擦係数(定数) × 荷重

動摩擦力 = 動摩擦係数(定数) × 荷重

一般的に、摩擦力は、以下の関係になります。

静摩擦力 > 動摩擦力 (静摩擦係数 > 動摩擦係数)

動かして滑りが発生するまでの摩擦力は、動かし続けるための摩擦力よりも大きくなります。

摩擦力はなぜ発生するのか

摩擦力が発生するのは以下の2つの理由です。

  1. 物質表面の微小凹凸
  2. 物質の安定化特性

物質表面の微小凹凸

すべての物質は、目視で物質表面が平滑とみえても、顕微鏡を使って拡大してみると微小な凹凸があります。

そのため、物質は面全体で相手物質と接触し、面圧力が分散しているのでなく、物質の微小な凹凸により、凸部で局所的に強い圧力がかかっています。

この局所的にかかっている圧力が摩擦力と言われます。

物質の安定化特性

物質表面は不安定な状態であるため、相手材と接触し、被着することで安定化しようとする性質があります。

この力は、相手材との相容性が高いほど(相手材と材質が近いほど)強くなります。

これらの2つの力により、摩擦力が発生します。

摩擦と摩耗

摩擦と摩耗は相関関係があります。

摩擦力が大きいほど摩耗量も大きい傾向になります。

摩擦と摩耗の関係についての詳細は以下の記事にまとめました。

ゴム材料の摩耗モード一覧について、別の記事にまとめております。

ゴム材料の耐摩耗性向上についてはこちら

最後に

今回は、ゴム・樹脂材料の摩擦力の考え方 についてまとめました。

摩擦力は目で見えない力で、感覚的に掴みづらい要素かと思います。

本記事で摩擦力についてイメージが湧いて理解が深まっていただければ幸いです。

次の記事では、摩擦力と密接な関わりのある「摩耗」について書いていきます。

ゴム材料の練り工程に関しては、別の記事にまとめております。

主に樹脂やゴム材料、材料リサイクルに関してわかりやすくまとめておりますので、皆さんのご参考になれば幸いです。

ゴムや樹脂材料でお困りなことがありましたら気軽にコメントいただければ、分かる範囲でご回答させていただきます。

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