ゴム老化防止剤(3C,6C)のメカニズム

ゴム老化防止剤(3C,6C)のメカニズム 樹脂 ゴム 材料
ゴム老化防止剤(3C,6C)のメカニズム

今回は、ゴムの老化防止剤(3C,6C) の役割について書きたいと思います。

ゴムのオゾン劣化

ゴムは大気中に放置されると、簡単に劣化が進みます。

ゴムの劣化に代表されるのは、オゾン劣化で、大気中に存在するオゾンが、ゴム分子を切断し、その結果ゴムの表面に亀裂が大量に発生します。

オゾン劣化することで、以下のようにゴム表面に大量の亀裂が入ります。

ゴムのオゾン劣化
ゴムのオゾン劣化

海岸や公園に放置されたゴム製品や、港で緩衝材で使われている古タイヤの表面に、亀裂が入ったものを見たことはないでしょうか。

ゴムのオゾン劣化でひび割れ
ゴムのオゾン劣化でひび割れ
オゾン劣化したタイヤ
オゾン劣化したタイヤ

これがまさしく、ゴムのオゾン劣化になります。

オゾン劣化メカニズムについては、別記事に詳細をまとめております。

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オゾン劣化防ぐには

ゴムのオゾン劣化を防ぐには2つ方法があります。

  1. 老化防止剤:ゴムがオゾンに攻撃された際にオゾンを吸収する
  2. WAX:ゴム表面をコーディングして守る

ゴム老化防止剤とは

今回は、老化防止剤について書きたいと思います。

WAXについては別記事にわかりやすくまとめました。

ゴム老化防止剤の役割

老化防止剤は、ゴムがオゾンに攻撃された際にオゾンを吸収する ことにあります。

老化防止剤は、ラジカル補助剤(分子鎖劣化)と言われており、ゴムがオゾンの攻撃を受けた際に、オゾンを吸収する化学反応をすることで、ゴムへのダメージを無くす(軽減させる)ことができます。

ゴム老化防止剤の添加量

老化防止剤は下記の反応プロセスを繰り返すことによりゴムのオゾン劣化を防ぐことができます。

ただし、老化防止剤が全てオゾンと反応してしまうと、それ以上はオゾンと反応することができなくなります。

そのためゴム製品の保証期間(オゾン劣化から守ってあげる期間)を考慮して老化防止剤の添加量を決める必要があります。

(老化防止剤が足りなくなることは避けなければいけません)

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ゴム老化防止剤 反応メカニズム

反応プロセスは以下4段階に分かれます。

  1. 老化防止剤がオゾンと反応
  2. ヒドロキシルアミンを形成
  3. キノン化合物と水(H2O)に分離
  4. 上記1〜3を繰返しオゾンを吸収

図で表すと以下になります。

ゴム老化防止剤3C6C反応メカニズム
ゴム老化防止剤3C6C反応メカニズム

ゴム老化防止剤がオゾンと反応

まず初めに、ゴムとオゾンが反応する前に、老化防止剤がオゾンと反応します。

この際に老化防止剤がゴム表面にブルームしていることが重要です。

これによりゴムのオゾン劣化を防ぐことができます。

老化防止剤がオゾンと反応すると、化学的不安定なニトロン化合物と酸素を生成します。

ゴムの老化防止剤がオゾンと反応してゴムを守る

老化防止剤のブルームに関しては別の記事でまとめております。

ヒドロキシルアミンを形成

老化防止剤とオゾンの反応で生成したニトロン化合物は、化学的に不安定な物質です。

そのためすぐさま、不安定なニトロン化合物は、空気中の水素と結合し安定的なヒドロキシルアミンを形成します。

オゾンの攻撃を受けたゴムは、ヒドロキシルアミンを生成

キノン化合物と水(H2O)に分離

その後、ヒドロキシルアミンは、キノン化合物(QDI)と水(H2O)に分離されます。

ゴムのオゾン劣化で、老化防止剤でキノン化合物を生成

繰返しオゾンを吸収

オゾンの影響を、下記反応を繰返し老化防止剤が反応することによって、ゴム材料のオゾン劣化を防ぎます。

ゴム材料の老化防止剤はオゾンと反応し続けることで、ゴム中の老化防止剤の量が減っていくため、ゴム製品の補償年数に対して十分な量の老化防止剤を添加する必要があります。

オゾン劣化からゴムを守るメカニズム

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最後に

今回は、ゴムの老化防止剤(3C,6C) の役割について書いてみました。

ゴム材料に老化防止剤を添加することで、オゾンによる攻撃を、ゴムの代わりに老化防止剤が吸収し、ゴム分子鎖切断を軽減することができます。

ただし、老化防止剤だけでは、ゴムのオゾン劣化を防ぐことはできないため、もう一つの添加剤「WAX」も重要です。

WAXについても書きましたので、ご参考いただけますと幸いです。

主に樹脂やゴム材料、材料リサイクルに関してわかりやすくまとめておりますので、皆さんのご参考になれば幸いです。

ゴムや樹脂材料でお困りなことがありましたら気軽にコメントいただければ、分かる範囲でご回答させていただきます。

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