ゴム加硫しやすさ指標「スコーチ」とは

ゴムの加硫しやすさ指標「スコーチ」とは 樹脂 ゴム 材料
ゴムの加硫しやすさ指標「スコーチ」とは

今回は、ゴムの加硫しやすさ指標「スコーチ」とは について書きたいと思います。

スコーチとは

スコーチ(Scorch)とは、ゴム製品の製造過程で発生する不良の1つで、ゴム焼けとも呼ばれます。

ゴム焼けとは、ゴムの加硫が進みすぎてゴムの使用期限が過ぎてしまっている状態を意味します。

ゴムは、柔らかい状態の未加硫ゴムを、製品形状に加工する際に加硫することで、ゴムを固めて製品を作ります。

そのため、未加硫ゴムの加硫が進んでいると、ゴム製品の加工が不可能(難しく)になるため、スコーチが起きるとゴムが使えなくなります。

そのため、ゴム開発において、いかにスコーチを起こしにくい材料を作るかが非常に重要になります。

その他一般的なゴムのテスト内容は別記事にまとめております。

スコーチタイムとは

スコーチタイムとは、スコーチの進みやすさを表す指標です。

スコーチタイムが短いほど、未加硫ゴムの加硫が進みやすいことを意味しており、スコーチが起こりやすいということです。

スコーチタイムは、ムーニー粘度と同じ設備で測定することができます。

スコーチ測定方法

規格

スコーチタイム測定には、以下規程で評価を行います。

JIS K 6300-1 未加硫ゴム -物理特性- 第1部

ムーニー粘度計による粘度及びスコーチタイムの求め方

概要

温度制御した円筒状の中空部にゴムを充填し、中の金属ロータを回転させ、軸にかかるト
ルク(ゴムが回転を阻害する抵抗する力)からスコーチタイム(ムーニー粘度)を計測します。

JIS規格では、測定温度は100℃、回転数は2回転/min です。

(スコーチタイムは125℃で測定することが多いです)

測定方法

ムーニー粘度の上昇具合から加工安定性等を評価します。

測定は以下4つのプロセスに分かれています。

  1. ムーニー粘度の安定化
  2. スコーチタイムt5測定
  3. スコーチタイムt10測定
  4. スコーチタイムt35測定

ムーニー粘度の安定化

ロータ回転開始後、ムーニー粘度が安定(粘度変化なし)まで待ちます。

ムーニー粘度が最小の値を Vm として記録します。

スコーチ測定結果
スコーチ測定結果

スコーチタイムt5測定

ムーニー粘度が5 上昇した点の時間をスコーチタイム t5 と記録します。

スコーチ測定結果_スコーチタイムt5測定
スコーチ測定結果_スコーチタイムt5測定

スコーチタイムt10測定

ムーニー粘度が10 上昇した点の時間をスコーチタイム t10 と記録します。

スコーチ測定結果_スコーチタイムt10測定
スコーチ測定結果_スコーチタイムt10測定

スコーチタイムt35測定

ムーニー粘度が35 上昇した点の時間をスコーチタイム t35 と記録します。

一般的には t35 で試験を終了します。

スコーチ測定結果_スコーチタイムt35測定
スコーチ測定結果_スコーチタイムt35測定

最後に

今回は、ゴムの加硫しやすさ指標「スコーチ」とは について書きました。

ゴム材の開発、生産においてスコーチは、ゴムの成形性に重要な指標になります。

スコーチタイムと同じ設備で測定することのできるムーニー粘度については別記事にまとめております。

主に樹脂やゴム材料、材料リサイクルに関してわかりやすくまとめておりますので、皆さんのご参考になれば幸いです。

ゴムや樹脂材料でお困りなことがありましたら気軽にコメントいただければ、分かる範囲でご回答させていただきます。