樹脂のリサイクル種類とリサイクル率の課題

【図解】樹脂のリサイクル種類とリサイクル率の課題 樹脂 ゴム 材料
【図解】樹脂のリサイクル種類とリサイクル率の課題

今回は、樹脂のリサイクル種類とリサイクル率の課題 についてまとめました。

昨今のエコの流れにより、樹脂のリサイクル方法についてさまざまな取り組みがなされています。

そこで、工業的な観点で樹脂のリサイクルにどのような動きがあるか まとめました。

樹脂 成形工程

樹脂製品が作られるまで、大きく分けて以下2つのプロセスがあります。

  1. ポリマー生成工程
  2. 樹脂製品成形工程

ポリマー生成工程

ポリマー生成工程は、以下の流れになります。

  1. 原油採掘
  2. ナフサ生成
  3. モノマー生成
  4. ポリマー生成

樹脂材料は、化石燃料である原油から、蒸留・重合プロセスを経て作られます。

原油から樹脂生成までの詳細については、別の記事にまとめております。

樹脂製品成形工程

原油からナフサを経てプラスチックの原型が生成された後は、樹脂製品の製造プロセスになります。

樹脂製品のざっくりとした製造プロセスは以下になります。

樹脂製品の製造プロセス
樹脂製品の製造プロセス

樹脂製品製造プロセスの詳細は別の記事にまとめております。

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樹脂 リサイクル手法

樹脂のリサイクルには、大きく分けて以下の4つがあります。

  1. サーマルリサイクル
  2. マテリアルリサイクル
  3. ケミカルリサイクル
  4. ガス・油リサイクル

樹脂の各リサイクル手法をフローチャートにまとめた図が以下になります。

樹脂のリサイクル手法_フローチャート

サーマルリサイクル

サーマルリサイクルは、使わなくなった製品(プラスチック)を焼却する際に、焼却時に発生する熱エネルギーを活用するリサイクル方法です。

この時発生した熱エネルギーは、ゴミ処理所の電力や、水を温めて温水プールや暖房として使われます。

しかし、リサイクル意識の高い欧州では、サーマルリサイクルは、リサイクル手法として認められていません。

サーマルリサイクルとはカッコよく言っているものの、やっていることは焼却廃却であるためです。

現在のトレンドとして、欧州ではリサイクルにカウントされていないサーマルリサイクルの比率を減らしていくことが求められております。

プラスチックのサーマルリサイクル

マテリアルリサイクル

マテリアルリサイクルは、使わなくなった製品を、新たな製品の原料として再利用するリサイクル手法です。

もの(マテリアル)から、もの(マテリアル)へとリサイクルするという意味で、マテリアルリサイクルと呼ばれています。

プラスチックは、熱や紫外線により時間と共に劣化するため、製品の劣化状態にもよりますが、同じ製品として再利用するものもあれば、別の製品で再利用するケースがあります。

マテリアルリサイクルを行う際には、プラスチックの劣化を考慮し、より低物性の製品への再利用を行うケースが多いです。

プラスチックのマテリアルリサイクル

プラスチックの劣化メカニズムについては別の記事にまとめております。

ケミカルリサイクル

ケミカルリサイクルとは、製品を分解して、その製品を構成している材料が原料になるまで戻して再利用することを言います。

プラスチック製品を、原料まで戻すという意味で、ケミカルリサイクルと言われています。

ケミカルリサイクルは、解重合反応と呼ばれる、モノマーからポリマーへ重合する逆のプロセスを行います。

プラスチック材料生産:低分子量のモノマーを重合反応により高分子量のポリマーを生成

ケミカルリサイクル:高分子のポリマーを解重合により低分子量のモノマーへ分解する

製品として劣化した材料も、モノマーまで分解し、重合によりポリマーを再生成するため、理論的には、劣化前のプラスチック材料に戻すことができます。

永久的にプラスチックをリサイクルし続けることができるため、理想的なリサイクル手法なのかもしれません。

※樹脂の重合・解重合プロセスにおいてCO2を排出するため、CO2に関しては別議論が必要です

プラスチックのケミカルリサイクル

ガス・油リサイクル

ガス・油リサイクルとは、製品を分解して、その製品を構成している材料が原料(上記の例ではエチレン)、さらにその原料(油・ガス)になるまで戻すことです。

製品から分解したガス・油を再利用することで材料をリサイクルします。

分解したガス(二酸化炭素)は炭酸ガスとして、窒素はアンモニアとして再利用されます。

樹脂のリサイクル手法一覧_ガス油リサイクル
樹脂のリサイクル手法一覧_ガス油リサイクル

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樹脂 リサイクル率

樹脂のリサイクル手法について以下4つをご説明いたしました。

  1. サーマルリサイクル
  2. マテリアルリサイクル
  3. ケミカルリサイクル
  4. ガス・油リサイクル

今現在の日本では、プラスチックのリサイクルのほとんどがサーマルリサイクルです。

ケミカルリサイクルとガス・油リサイクルは開発中の技術であり、未だ活用している企業はありません。

今後、炭素使用量に課税される「炭素税」が始まることで、ケミカルリサイクルやガス・油リサイクルへの取り組みが活性化していくことが予測されています。

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最後に

今回は、樹脂のリサイクル種類とリサイクル率の課題 についてまとめました。

昨今、世界的に環境負荷低減が叫ばれており、化石燃料が原料として使われる樹脂材料のリサイクルはさまざまな取り組みがなされております。

しかしながら体系的にわかりやすくまとめられている記事がなかったため、今回比較的わかりやすいように図解をしてみました。

ゴムや樹脂材料でお困りなことがありましたら気軽にコメントいただければ、分かる範囲でご回答させていただきます。

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