LCAとCO2排出量の計算と自動車産業

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LCAとCO2排出量の計算と自動車産業

今回は、LCAとCO2排出量の計算と自動車産業 について書きたいと思います。

LCAとは

LCAはLife Cycle Assesmentの略で、製品・サービスのライフサイクル全体(資源採取→原料生産→製品生産→流通・消費→廃棄・リサイクル)の環境負荷を定量的に評価する手法です。

つまり、製品を作るところから、製品が使われて廃棄されるまでにどれだけ環境負荷があるか について示す評価手法です。

LCAは、ISO(国際標準化機構)による環境マネジメントの国際規格の中で、ISO規格が作成されております。

昨今の環境負荷低減トレンドに乗っかるように、多くの企業はLCAの低減に取り組んでおります。

LCAとCO2の関係

多くの資料で、「LCA=CO2排出量」と語られておりますが、LCAはCO2排出量だけを指してはいません。

LCAとCO2の関係は、正確には以下のイメージです。

LCAとCO2の関係
LCAとCO2の関係

LCAのほとんどはCO2排出量によって決まりますが、その他の以下の環境悪化物質の排出もLCAの中に含まれます。

○環境悪化物質

  • 二酸化硫黄(SO2)
  • 窒素酸化物(NOx)
  • 全窒素
  • 全リン
  • 重金属 など

LCAとCO2の繋がり

先述の通り、LCAは、製品を作るところから、製品が使われて廃棄されるまでにどれだけ環境負荷がありますか を示す評価手法です。

そのプロセスの中で発生する、主にCO2をカウントすることになります。

LCAの一例は以下になります。

LCAとCO2のつながり
LCAとCO2のつながり

資源の採掘から処理・廃棄に至るまで、各プロセスでエネルギー消費がされます。

ものすごく簡単にいうと、エネルギー消費量≒CO2排出量になります。

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各プロセスのエネルギー消費

各プロセスで発生するLCAに関わるエネルギー消費について考えてみたいと思います。

資源採掘

製品を作るためには、その原料となる資源が必要です。

LCAとCO2のつながり_資源採掘
LCAとCO2のつながり_資源採掘

自動車を作るには、金属や樹脂などが必要です。

金属は、天然資源である鉄鉱石や石炭が必要です。

樹脂は、これまた天然資源である原油が必要です。

これらの資源は大型機械にて採掘されるため、大型機械の動力源になるガソリンが必要です。

ガソリンは燃焼することで動力源として活用できる一方、ガソリンは燃焼することでCO2を排出します。

そのため、ハードウェアと呼ばれる実製品を作るためには、どうしても資源採掘のプロセスが必要なため、CO2が排出されてしまいます。

原料生産

採掘した資源から、原料を作るプロセスです。

LCAとCO2のつながり_原料生産
LCAとCO2のつながり_原料生産

前工程の「資源採掘」で採掘された資源から、金属であれば、鉄鉱石と石炭を混ぜ、炉で1500度以上の高温で熱して作ります。

炉の温度を1500度に上げるために、ガソリンであったり、電気が必要です。

樹脂の場合も同じで、樹脂の原料となる原油を高温で処理することで、樹脂を生成します。

熱を作るために、ガソリンであれば、燃焼の際にCO2排出され、電気であれば、電力を作るためおこなられる火力発電の際に、CO2が排出されます。

つまり、高熱を必要とする「原料生成」のプロセスにおいて、CO2排出は避けることができません。

製品生産

生成した原料から、製品を生産するプロセスです。

LCAとCO2のつながり_製品生産
LCAとCO2のつながり_製品生産

金属材料はプレスや押し出し成形、樹脂材料は射出成形で製品を作るプロセスになります。

ここでは、成形機(加工機)を駆動させるための電気が必要になります。

前述の通り、日本では電気を作るために火力発電をメインで行なっているため、原油を燃やした時に大量のCO2が排出されます。

そのため、さまざまな企業で、火力発電で作られた電力ではなく、自然エネルギー(太陽光、地熱、風力)で作られた電力への切り替えを進めています。

消費

消費者が、製品を使うプロセスです。

LCAとCO2のつながり_消費
LCAとCO2のつながり_消費

自動車であれば、自動車を動かすためにガソリンや電気が必要です。

家電であれば、動作させるために電気が必要です。

そのため、電気を生成する際にCO2発生します。

処理・廃棄

製品が使われなくなり廃棄されるプロセスです。

LCAとCO2のつながり_処理・廃棄
LCAとCO2のつながり_処理・廃棄

製品を処分する際は、基本的に焼却処分されます。

環境保護の観点から、製品を分解して、減量リサイクルされることも増えてきましたが、依然として高熱で燃やして処分する焼却処分が多く行われています。

この焼却時に必要な熱を作り出すためにエネルギーが必要で、エネルギー生成時に大量のCO2が排出されます。

廃棄をできるだけ減らすための樹脂リサイクル手法についてまとめました。

まとめ

このように、LCAの大部分を占めるCO2排出の大きな要因となっているのは、ガソリンの燃焼と、電力生成です。

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LCA低減方法

LCA低減に向けて、ガソリン燃焼と電力生成について、それぞれの取り組みが必要です。

ガソリン燃焼

ガソリン燃焼を低減させるために、ガソリンを動力とする機械を電気を動力とする機械への置換えが進められてきています。

自動車が代表的な例で、ガソリン車から電気自動車への置き換えを進めようとしている理由が、ガソリン燃焼時のCO2削減が目的です。

電力生成

電力生成時のCO2排出量低減させるために、電力の作り方の変更が進められています。

現在日本の電力のほとんどが火力発電から作られているのを、風力発電や太陽光発電に置き換える流れができてきています。

これにより、電力生成時のCO2排出量をゼロにしようと進められています。

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最後に

今回は、LCAとCO2排出量の計算と自動車産業 について書いてみました。

LCAはCO2排出と同じ意味で語られることが多いのですが、実は違います。

現在進行形で、さまざまな企業がCO2排出ゼロに向けた取り組みを行なっています。

多くの人がLCAやCO2排出量削減に興味を持ち、環境悪化に歯止めをかける行動をすることで、私たちの未来がより良くなっていくことを願っています。

そんな思いでこの記事を書かせていただきました。

主に樹脂やゴム材料、材料リサイクルに関してわかりやすくまとめておりますので、皆さんのご参考になれば幸いです。

ゴムや樹脂材料でお困りなことがありましたら気軽にコメントいただければ、分かる範囲でご回答させていただきます。

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