今回は、 ゴムの硬さから弾性率を算出する方法 について書きたいと思います。
ゴム材料試験
一般的に、ゴム材料の弾性率(剛性)を測定するためには、ゴム材料の引張り試験を行います。
しかしゴムの弾性率はゴム硬さと相関があり、ゴム硬さの値からおおよそのゴム弾性率を算出することができます。
ゴム材料 引張り試験試験
ゴム材料の引張り試験規格については、別記事にまとめております。
ゴム材料 試験規格一覧
主要なゴム材料試験の規格を一覧にまとめております。
ゴムの硬さと弾性率の関係
ゴムの硬さ(硬度)とゴムの弾性率(ヤング率)は関係がなさそうに思われるかもしれません。
しかし、ゴムの硬度から、ゴムのおおよその弾性率を算出することができます。
算出することのできる理由は、ゴムの硬さの測定方法に関係するのですが、ゴムの硬さは、デューロメータという針をゴムに押し込んだときの、針がゴムから受ける反発力により測定をします。
このゴムの反発力がゴムの弾性率と相関があるため、ゴムの硬さからゴムの弾性率を計算できます。
硬さ→弾性率 換算式
デューロメータA硬度と弾性率には以下の関係が成り立ちます。

とりあえず計算をしたいという方は、以下の式のHにデューロメータA硬度を代入して計算をしてみてください。

デュロメータA硬度計の針先端半径は0.395mm(直径0.79mm)です。
ただし、針は円錐のため、針の根元半径は0.625mm(直径1.25mm)です。
そのため、硬度から弾性率への換算式では、針先端と針根本の半径(0.395mm, 0.625mm)の平均値の0.51mmで計算をしております。
上記式ではゴムのポアソン比0.5で計算をしておりますが、評価しているゴムの正確な値を用いれば、より正確な弾性率を算出できます。
硬さ-弾性率 グラフ
デューロメータ硬さと弾性率(ヤング率)の関係をグラフに表すと以下になります。
デューロメータ硬さが大きくなるほどヤング率は比例して大きくなります。

最後に
今回は、 ゴムの硬さから弾性率を算出する方法 について書いてみました。
デューロメータで硬度を測定するのは一瞬でできますが、ゴムシートから試験片を切り抜いて引張り試験を行いゴムのヤング率を測定するのは手間がかかります。
そのため、ゴム硬度からゴムのヤング率を換算できるのは工数削減につながりますので、ぜひ活用してみてください。
主に樹脂やゴム材料、材料リサイクルに関してわかりやすくまとめておりますので、皆さんのご参考になれば幸いです。
ゴムや樹脂材料でお困りなことがありましたら気軽にコメントいただければ、分かる範囲でご回答させていただきます。
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