熱可塑性エラストマー(TPO,TPS,TPU,TPA)特徴と違い

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熱可塑性エラストマー_TPO,TPS,TPU,TPA特徴と違い_最新

熱可塑性エラストマー(TPO,TPS,TPU,TPA)特徴と違い についてまとめました。

私は、化学メーカ・材料メーカ・製品OEMとさまざまなところで材料開発をおこなってきました。

最近3Dプリンタ用途で広く使われるようになった、熱可塑性エラストマーの材料の違いについて解説いたします。

熱可塑性エラストマーの基礎的な特徴

エラストマーとは

エラストマーとは、弾力のある(elastic)な 高分子(polymer)という意味で呼ばれています。

つまりエラストマーとは、弾性力があり、高分子で構成された素材ということになります。

世の中で「ゴム」と呼ばれる素材が、エラストマーに該当します。

エラストマーには、以下2つの種類あります。

  1. 熱硬化性エラストマー
  2. 熱可塑性エラストマー
エラストマーの違い_熱可塑性と熱硬化性
エラストマーの違い_熱可塑性と熱硬化性

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熱可塑性エラストマーの種類

熱可塑性エラストマーには、いくつかの種類があります。

広く使われているのが以下4種類になります。

  • TPO(オレフィン系)
  • TPS(スチレン系)
  • TPU(ウレタン系)
  • TPA(アミド系)

TPO(オレフィン系)

TPOは、Thermoplastic Olefinic Elastomer の略です。

ハードセグメント:オレフィン(PP樹脂・PE樹脂等)

ソフトセグメント:エチレンープロピレンゴムなどのゴム成分(EPM・EPDM)

構造式

熱可塑性エラストマー_TPOオレフィン系
熱可塑性エラストマー_TPOオレフィン系

特徴

オレフィン系の特徴である、以下がTPOの特徴です。

  • 安価
  • 高耐薬品性
  • 軽量

オレフィン系樹脂は、安価で、耐薬品性に優れる特徴があります。

また、比重も1.0以下であるため、軽量化が求められる製品に多様されます。

用途

自動車や家電の小物ゴム部品に使われます。

自動車や家電は大量生産が求められるため、サイクルタイムの長い熱硬化性エラストマーではなく、成形性が良く安価なTPOが使われます。

TPS(スチレン系)

TPSは、Thermoplastic Stylenic Elastomer の略です。

ハードセグメント:ポリスチレン樹脂

ソフトセグメント:以下数種類の材料が使われます。

  • SBS(スチレン・ブタジエン・スチレン)
  • SIS(スチレン・イソプレン・スチレン)
  • SEBS(スチレン・エチレン・ブチレン・スチレン)
  • SEPS(エチレン・エチレン・プロピレン・スチレン)

構造式

熱可塑性エラストマー_TPSスチレン系
熱可塑性エラストマー_TPSスチレン系

特徴

ポリスチレン樹脂の特徴である、以下がTPSの特徴です。

  • 高耐候性
  • 高耐薬品性
  • 高衛生性

TPOと同様に、耐候性と耐薬品性に優れます。

また、衛生性に優れる特徴があります。

用途

TPOと同様に、自動車や家電の小物ゴム部品に使われます。

また、TPSの高衛生性の特徴から医療系用途として幅広く使われています。

TPU(ウレタン系)

TPUは、Thermoplastic polyurethane Elastomer の略です。

ハードセグメント:ウレタン

ソフトセグメント:脂肪族ポリエステル・脂肪族ポリエーテル

構造式

熱可塑性エラストマー_TPUウレタン系-1
熱可塑性エラストマー_TPUウレタン系-1

特徴

ウレタン樹脂の特徴である、以下がTPUの特徴です。

  • 透明
  • 高耐摩耗性
  • 高靱性

ウレタン樹脂は、無色透明ですので、TPUも非常に透明性が高いです。

また高耐摩耗性・高靱性が特徴です。

外観性と耐摩耗性が求められる、人が取り扱うものに使われます。

用途

以下のように幅広い用途で使われます。

  • スマートフォンケース
  • マットレス
  • サッカーボール、スキーやスノーボード板
  • 自動車内装表皮

TPA(アミド系)

TPOは、Thermoplastic Amide Elastomer の略です。

ハードセグメント:アミド系樹脂(PA12・PA6・PA66)

ソフトセグメント:脂肪族ポリエステル・脂肪族ポリエーテル

構造式

熱可塑性エラストマー_TPAアミド系
熱可塑性エラストマー_TPAアミド系

特徴

アミド系樹脂の特徴である、以下がTPAの特徴です。

  • 高耐薬品性
  • 高耐熱性

アミド樹脂は、耐薬品性と耐熱性に優れます。

他の熱可塑性エラストマーでは耐熱性の優れるものはないため、高熱環境にさらされる部品としては、TPA1択になります。

るため、高熱で薬品付着の可能性が非常に高い自動車エンジンやモーターに近い箇所に使われます。

用途

高熱で薬品付着の可能性が非常に高い、自動車エンジンやモーターに近い箇所に多く使われます。

その他、熱環境で使われる製品に多用されます。

最後に

熱可塑性エラストマー(TPO,TPS,TPU,TPA)特徴と違い についてまとめました。

熱可塑性エラストマーは、ハードセグメントの樹脂部とソフトセグメントのゴム部の組み合わせで多種多様な特性をたせることが可能です。

樹脂3Dプリンターで熱可塑性エラストマーの利用が拡大しており、3Dプリンターの発展と共に熱可塑性エラストマーの生産量も増えていくことが予想されます。

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