ゴム練り工程〜ロール機のトルクと分散性〜

ゴム練り工程〜ロール機のトルクと分散性〜 樹脂 ゴム 材料
ゴム練り工程〜ロール機のトルクと分散性〜

今回は、ゴム練り工程〜ロール機のトルクと分散性〜 について書きたいと思います。

ゴムの成形プロセス

ゴム材料の成形は以下2つのプロセスを経て行われます。

  • ゴム練り工程
  • 加硫工程

ゴム練り工程全体については、別記事にまとめております。

ゴム練り工程

ゴム材料に必要な添加剤を混ぜるプロセスです。

ゴムに補強材としてのカーボンブラックや、オゾン劣化防止のための老化防止剤、ゴム加硫を促進するための加硫促進剤などを混ぜ合わせる工程です。

本記事でゴム練りについて詳細を書いていこうと思います。

ゴム練り工程は別記事に詳細をまとめております。

ゴム補強材のカーボンブラックについては、こちらでまとめております。

加硫工程

ゴム練り工程で添加剤を混ぜ合わせたゴムを加硫するプロセスになります。

未加硫のゴムを熱と圧力で加硫させることにより、材料硬度、材料剛性・強度を向上させ、製品として使える状態にします。

加硫工程については、別記事にまとめております。

ゴム練りチャートとは

ゴム練りチャートとは、チャートを見ることで、A練り工程中のゴム状態がどのようになっているかを理解することができます。

また、狙いとした練り工程が行えているかを判断するための工程管理にもゴム練りチャートは活用できます。

ゴム練りチャートのイメージを以下に示します。

縦軸はトルク[N・m]、横軸は時間です。

縦軸のトルクは、練り機のトルク値になり、ゴムを練るための負荷が大きいほど、トルクは高くなります。

ゴム練りチャート 各工程

ゴム練りチャートは大きく分けて以下の4つのプロセスに分けられます。

  • ゴム練り工程
  • 添加材練り工程
  • BIT工程
  • 均一化工程

4プロセスをグラフに表すと以下になります。

A ゴム練り工程

練り機にゴム材料を投入し、熱をかけながらゴムを溶かしていきます。

この工程は「素練り」とも呼ばれます。

ゴムの練りが進んできると、若干トルクが下がる傾向になります。

B 添加材練り工程

投入したゴムな熱とせん断力により均一状態になったのち、カーボンブラックなどの補強材や、老化防止材などの添加剤を投入します。

カーボンブラックやシリカなどの硬い材料が投入されることで、一気にトルクが立ち上がります。

カーボンブラックの仕様については別記事に書いております。

C BIT工程

BITとは、Black Incorporation Timeと呼ばれ、カーボンブラックとゴムの一体化する目安の時間で、ゴムにカーボンブラックが完全に混ざり合うと、グラフのように極大点が生じます。

BITの極大点が発生することが非常に重要で、この極大点が発生することで、ゴムにカーボンブラックが混ざり合っていると判断することができます。

(シリカや他の補強材での(BIT)極大点はカーボンブラックと比較すると小さくなるため見落とされがちになります)

D 均一化工程

徐々にゴムへの添加剤の分散が進行するため、練り時間と共にトルクは下がっていきます。

この均一化の工程にて、「ラムの加圧除去」という作業を行います。

練り機を加圧しているラムを取り外し、練り機の材料投入口近傍に付着した添加剤を練り機の中に落として、再度練る工程になります。

これにより、投入した添加剤の分量を間違いなくゴムに練り込むことができます。

最後に

今回は、ゴム練り工程〜ロール機のトルクと分散性〜 について書いてみました。

ゴム練りチャートは、ゴムに添加した補強材や添加剤が、ゴム中に微分散しているのか検証できる方法であるため非常に重要です。

ゴムの加硫曲線についても別記事にまとめておりますので、よろしければ見ていただけると嬉しいです。

主に樹脂やゴム材料、材料リサイクルに関してわかりやすくまとめておりますので、皆さんのご参考になれば幸いです。

ゴムや樹脂材料でお困りなことがありましたら気軽にコメントいただければ、分かる範囲でご回答させていただきます。