今回は、ゴムの老化防止剤(3C,6C)の使い分け について書きたいと思います。
ゴムのオゾン劣化
ゴム材料は大気中のオゾンの影響で容易に劣化が進みます。
そこで必要になってくるのが、ゴムをオゾン劣化から守る「老化防止剤」と「WAX」です。
老化防止剤の役割について別記事を書いています。
老化防止剤 選び方
老化防止剤は、大きく分けて2つあります。
- 老化防止剤3C
- 老化防止剤6C
老化防止剤3C
一般的にゴムの老化防止剤に使われているのが、老化防止剤3Cです。
分子量が小さく分子鎖が短いです。
分子鎖が短いがゆえ、ゴム中の移行がしやすいのが特徴です。
そのため老化防止剤3Cは、ゴム表面への移行が早いため、オゾン劣化防止の即効性が高くなります。
一方で、即効性が高い分、オゾンと反応が進み、オゾンと反応ができる老化防止剤の量が減る速度が速くなるため、長期的にオゾンから守るという観点では劣ります。
ゴム製品の使用期間(保証期間)と、使われる環境(室外で製品が使われるか)を考慮して、老化防止剤3Cの配合量を調整する必要があります。
老化防止剤6C
老化防止剤6Cも広く使われています。
老化防止剤6Cは3Cと比較して、分子量が大きく分子鎖が長いです。
分子鎖が長いがゆえ、ゴム中の移行が緩やかなのが特徴です。
そのため老化防止剤6Cは、ゴム表面への移行が緩やかなため、オゾン劣化防止の即効性が低いです。
成形品がすぐに室外で使用された際に、老化防止剤6Cだけが配合されている場合、オゾン劣化が進む可能性があります。
一方で、即効性が低い分、長期的にオゾンから守るという観点では優れます。
ゴム製品の使用期間(保証期間)と、使われる環境(室外で製品が使われるか)を考慮して、老化防止剤6Cの配合量を調整する必要があります。
老化防止剤 選定方法
老化防止剤3Cと6Cをまとめると以下表になります。
老化防止剤3Cと6Cにはそれぞれ良い特徴があるため、製品によっては、いいとこ取りをしたいという意味で、老化防止剤3Cと6Cを両方添加する手法もとられます。
老化防止剤 添加量の注意点
老化防止剤の選定で注意すべき点があります。
それは、老化防止剤3Cと6Cで分子量が異なるため、同じ量を添加した際に、老化防止剤の数が異なります。
老化防止剤6Cの方が3Cよりも、老化防止剤の数が少なくなるため、ゴム中への分散性の観点も考慮して考える必要があります。
(老化防止剤6Cの方が、数が少ないため、分散性には注意が必要です)
最後に
今回は、ゴムの老化防止剤(3C,6C)の使い分けについて書いてみました。
本記事がみなさんのゴム材料開発の知見となれば幸いです。
ゴム材料に老化防止剤を添加することで、オゾンによる攻撃を、ゴムの代わりに老化防止剤が吸収し、ゴム分子鎖切断を軽減することができます。
ただし、老化防止剤だけでは、ゴムのオゾン劣化を防ぐことはできないため、もう一つの添加剤「WAX」も重要です。
WAXについても書きましたので、ご参考いただけますと幸いです。