今回は、樹脂材料 JIS衝撃試験比較(シャルピー、アイゾット)についてまとめました。
樹脂 衝撃試験
樹脂材料の代表的な試験に、衝撃試験があります。
樹脂材料の衝撃強度はとても重要な指標です。
PP樹脂を例に取ると分かりやすいのですが、PP樹脂の結晶化が進むと引張り強度は向上します。
しかし、一方で衝撃強度は低下します。
同じ材料仕様であっても、成形条件によりPP樹脂の結晶化度が変わり、その結果耐衝撃性も大きく変化します。
そのため成形品で耐衝撃性を評価することは非常に重要です。
樹脂 衝撃試験手法
樹脂材料の衝撃試験手法は、以下4つあります。
- アイゾット衝撃試験
- シャルピー衝撃試験
- デュポン衝撃試験
- パンクチャー衝撃試験
この中で代表的なのは、アイゾット衝撃試験と、シャルピー衝撃試験です。
多くの製品において、アイゾット衝撃値、シャルピー衝撃値で材料の耐衝撃性を管理されています。
また、面衝撃の観点で、デュポン衝撃試験やパンクチャー衝撃試験を実施する例もあります。
製品に生じる衝撃モードによって、どのような試験で評価・管理すべきかが変わります。
樹脂 各衝撃試験手法の特徴
各衝撃試験手法の規格ナンバーと、特徴を表にまとめると以下になります。
アイゾット衝撃試験
アイゾット衝撃試験は、シャルピー衝撃試験と並んで、最も用いられる衝撃試験方法です。
振り子の原理で試験片に衝撃を与え、試験片への衝撃後の振り子高さから、試験片で失われた振り子のエネルギーを衝撃エネルギーとして算出します。
メリット
簡易的な試験で、データの正確性も高いです。
過去に様々な材料で測定されており、他材料との比較が容易にできます。
デメリット
試験片ごとのばらつきがあり、n数が必要なテストです。
テストで得られるデータは、衝撃エネルギーのみであるため、パンクチャー衝撃試験と比較して、試験により得られるデータが限定的です。
シャルピー衝撃試験
シャルピー衝撃試験は、アイゾット衝撃試験と並んで、最も用いられる衝撃試験方法です。
私の感覚では、シャルピー衝撃試験が最もメジャーな衝撃試験方法です。
振り子の原理で試験片に衝撃を与え、試験片衝撃後の振り子高さから、試験片で失われた振り子のエネルギーを衝撃エネルギーとして算出します。
メリット
簡易的な試験で、データの正確性も高いです。
過去に様々な材料で測定されており、他材料との比較が容易にできます。
デメリット
試験片ごとのばらつきがあり、n数が必要なテストである。
テストで得られるデータは、衝撃エネルギーのみであるため、パンクチャー衝撃試験と比較して衝撃により得られるデータが限定的です。
デュポン衝撃試験
デュポン衝撃試験は、材料の面衝撃強度を評価するテストです。
重りをある高さから落下した際に、試験片が破れないときの位置エネルギー(mgh)を衝撃エネルギーとして算出します。
メリット
試験は平板で行うため、試験片加工が容易にできます。
試験は、重りと高さだけが変数の試験であるため簡単に試験を行えます。
デメリット
非常にばらつきの大きい試験ですので、試験片を大量に準備する必要があります。
テストでは、試験片が破れた/破れなかった だけの判断であるため、なぜ破れたのか?破れなかったのか?の考察が難しいです。
パンクチャー衝撃試験
パンクチャー面衝撃試験は、材料の面衝撃強度を測定する試験です。
試験速度4.4m/sの一定速度で試験片を打ち抜いた時のエネルギーを衝撃強度と算出します。
パンクチャー衝撃試験だけが唯一、衝撃時の試験片変形モードがわかるため、衝撃により材料がどのように破壊に至るのか理解することができます。
パンクチャー衝撃試験のデータの見方や、結果の考察の仕方について別記事にまとめております。
メリット
衝撃時の試験片変形モードがわかるため、材料がどのように破壊に至るのかを確認することができます。
試験機が高温槽内にあるため、温度条件下でテストが可能です。
他の衝撃試験と比べてばらつきの少ない試験になります。
デメリット
設備が高価(委託費用も高価)です。
高圧で試験装置を稼働するため騒音が大きいです。
最後に
今回は、樹脂材料 JIS衝撃試験比較(シャルピー、アイゾット)についてまとめました。
樹脂材料の衝撃試験にはいくつか方法があり、それぞれ異なる特徴があることを理解いただけたかと思います。
一般的なシャルピー衝撃試験やアイゾット衝撃試験は、他材料の比較として最も一般的な測定方法です。
ただし開発している製品が、ユーザーの使用環境において面衝撃のモードが入る場合は、面衝撃試験を評価しておいた方が間違いないと思います。
パンクチャー衝撃試験のデータの見方や、結果の考察の仕方について別記事にまとめております。
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