今回は、パンクチャー衝撃試験の考え方(JIS規格と試験機等) についてまとめました。
樹脂の衝撃試験
今回書いているパンクチャー衝撃試験は、樹脂の衝撃試験の1つです。
樹脂の衝撃試験の全体の話については別記事に書いてます。
パンクチャー衝撃試験とは
パンクチャー衝撃試験は、JIS K 7211-2 で規定された試験です。
また試験速度が非常に高速であるため、高速面衝撃試験とも呼ばれます。
テスト方法は、衝撃速度4.4m/sの速度一定で、平板に衝撃を与え、平板が破壊するために要したエネルギーを算出します。
パンクチャー衝撃試験 結果の見方
試験結果は、以下図のように縦軸は試験力、横軸はストロークで表されます。
そして線で囲われた部分(波形の積分値)が衝撃エネルギーになります。
この面積が大きいほど、耐衝撃性に優れた材料ということが言えます。
パンクチャー衝撃試験 メリット
パンクチャー衝撃試験の優れた点は、上記のグラフのように、エネルギー値がデータとして算出できるところです。
衝撃試験には、シャルピー衝撃試験、アイゾット衝撃試験など他にもいくつかありますが、ハンマーの振り上げ角度によるエネルギー計算しかできません。
パンクチャー衝撃試験では、材料が破壊に至るまでの挙動をグラフで確認できるため、材料開発において、材料仕様の改善や対策を検討することができます。
パンクチャー衝撃試験 活用方法
パンクチャー衝撃試験では、材料が破壊に至るまでの挙動をグラフで確認できるため、材料開発において、材料仕様の改善や対策を検討することができます。
詳細について以下グラフで説明します。
異なる材料仕様の材料Aと材料Bのパンクチャー衝撃試験結果を示しました。
材料A
材料Aは、強度の高い材料なため、低ストロークで試験力が立ち上がり、低ストロークで材料が破壊に至ります。
材料B
材料Bは、伸びに優れる材料なため、試験力の立ち上がりは小さいものの、材料の変形量が大きく、高ストロークで材料が破壊に至ります。
材料Aと材料Bはまるで異なる挙動を示しますが、衝撃エネルギー(曲線の積分値)は同じです。
材料Aは、高強度であることで高い衝撃エネルギーを持ち、材料Bは、伸びを大きいことで高い衝撃エネルギーを持ちます。
つまり、シャルピー衝撃試験やアイゾット衝撃試験で同じ衝撃エネルギーを示した材料Aと材料Bは、パンクチャー衝撃試験を行うことで、全く異なる挙動を示していることを初めて理解できます。
この結果から、材料をどうしたらさらに衝撃エネルギーを向上させることができるのか検討する打ち手を考えることができます。
最後に
今回は、パンクチャー衝撃試験の考え方(JIS規格と試験機等) についてまとめました。
非常にニッチな試験方法かもしれませんが、材料開発において必要不可欠な評価設備です。
樹脂の衝撃試験の全体の話については別記事に書いてます。
ゴムや樹脂材料でお困りなことがありましたら気軽にコメントいただければ、分かる範囲でご回答させていただきます。
■化学系最大級の本サイトでの広告等の御依頼がございましたらご連絡ください