今回は、ゴムのオゾン劣化メカニズム についてまとめました。
ゴムのオゾン劣化
ゴムは大気中のオゾンの影響により、容易に劣化します。
ゴムを大気中に放置しておくと、時間と共に劣化が進行し、表面に亀裂が入ります。
これは、ゴムがオゾンにより化学変化が起こっているためです。
ゴムがオゾンと化学反応すると、ゴム分子が切断が進み、最終的にはゴム表面に亀裂が入ります。
ゴムのオゾン劣化メカニズム
ゴムのオゾン劣化は、以下3つのプロセスにより進行します。
- オゾンがNR(天然ゴム)の二重結合を破壊
- オゾナイドが両性イオンとケトンに分離
- 両性イオンがアルデヒドと反応しオゾン化合物を形成
- 両性イオンが活性水素と反応しハイドロペルオキシドを形成
イメージ図にまとめるルト以下になります。

オゾンがNR(天然ゴム)の二重結合を破壊
まずNRがオゾンの影響を受けると、NRの二重結合を破壊します。
そして、NRは二重結合を破壊されるとオゾナイド(C-C間は一重結合)という物質を作ります。

オゾナイドが両性イオンとケトンに分離
オゾンにより劣化したNRは、化学的に不安定なオゾナイドであるため、すぐに両性イオンとケトンに自然分離されます。

両性イオンがアルデヒドと反応しオゾン化合物を形成
生成された物質は、プラスとマイナスの電化を持った両性イオンです。
両性イオンも化学的に不安定であるため、アルデヒドと容易に反応し、安定なオゾン化合物を形成します。

両性イオンがアルデヒドと反応しハイドロペルオキシドを形成
上記のように、両性イオンがアルデヒドと反応し、オゾン化合物を形成する場合もあれば、活性水素と反応しハイドロペルオキシドを形成することもあります。
ゴムのオゾン劣化メカニズム まとめ
天然ゴムはオゾンの影響により容易に劣化が進行します。
劣化を防ぐため、ゴムへ添加剤を入れて、オゾンから守る必要があります。
オゾン劣化を防ぐための添加剤(WAX、老化防止剤)については別記事にまとめております。
最後に
今回は、ゴム材料のオゾン劣化について、まとめてみました。
ゴムのオゾン劣化については、検索するとさまざまな情報が出てきますが、どれも分かりにくいなと思い、わかりやすく図にまとめてみました。
ゴム材料開発に携わるみなさんのご参考になれば幸いです。
その他、樹脂材料やゴム材料についてわかりやすくまとめております。
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