今回は、ゴム領域で使用される単位「phr」の考え方について まとめました。
化学領域の単位
通常、化学の領域で使用される単位は、重量パーセント(wt%) です。
つまり混合物の考え方として、各材料が重量比で何%含まれているかを表すことが多いです。
■重量パーセント(wt%)の考え方
例えば、PP樹脂に、添加フィラーを10wt%添加された複合材料を考えてみます。
PP樹脂+フィラーの複合材料がトータル100gだとすると、添加フィラーの重量は10gになります。(PP樹脂は90gです)
複合材料が500gだとすると、フィラーは50gになります。(PP樹脂は450gです)
とても考え方がシンプルであることがわかるかと思います。
ゴム領域の単位
ゴムの添加量は、phr(parts per hundred rubber)で表現されます。
しかしゴム領域の単位 phr は複雑で注意が必要です。
phrは、ゴム100g当たりに含まれる、添加剤の量を指します。
■phrの考え方
ゴム100gに添加剤1phr添加する場合、添加剤の量は1gで、材料全体の重量は101gになります。
ゴム100gに添加剤10phr添加する場合、添加剤の量は10gで、材料全体の重量は110gになります。
phrで配合量を管理する場合は、wt%と配合量が異なるため注意が必要です。
phrの注意点
ここでphrの注意点について皆さんに知っておいていただきたいことがあります。
それは、「phrで添加材料を管理すると、wt%と材料配合比が変わる」ということです。
以下の表を見てください。
添加剤Aの添加量の影響が及ぼす材料物性の変化を見たいと考え、材料1、2、3と作ったとします。
これだけを聞くと、添加剤Aが2倍、3倍になるとどんな変化があるのかが評価できると考えられると思ってしまいますが、それは間違いです。
以下のグラフを見てください。
以下グラフは、ゴム、添加剤A,B,Cの配合比で表したものです。
グラフを見てお分かりかと思いますが、添加剤A(グラフのオレンジ色)の量を変えているだけと思いきや、ゴムと添加剤B,Cの配合比は変化しています。
つまりphrで材料の配合量を管理する場合、添加剤の量を変えると、材料の配合比も変化してしまいます。
そのため、材料1と材料3を比較したときに、物性変化の影響は、以下の可能性が考えられます。
- 添加剤Aの増量(10phr→30phr)の影響 (評価の狙い)
- ゴム配合比の減少(62%→55%)の影響
- 添加剤B配合量の減少(13%→11%)の影響
- 添加剤C配合量の減少(19%→17%)の影響
最後に
今回は、ゴム領域の[phr]は注意が必要 についてまとめました。
ゴム材料開発において、phrで添加材の配合量を管理することは複雑ですので、注意してみてはいかがでしょうか。
その他、樹脂材料やゴム材料についてわかりやすくまとめております。