夏の車内が暑くなるメカニズムと対策

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夏の車内が暑い メカニズムと対策

今回は、夏の車内が暑くなるメカニズムと対策 について書きたいと思います。

私は、樹脂・ゴム材料のエキスパートであり、材料の特性観点でお役に立てることがあると思い今回の記事を書きました。

夏の車内

毎年夏のシーズンになると、自動車へ乗り込む時、車内がものすごく暑いことに気が付きます。

これなんとかできないかと思いますよね。

特に私のように地方に住んでおり、自動車で会社への通勤や実家への帰省、家族旅行をする人にとって、車は必要不可欠です。

しかし、夏の車内はすこし時間がたつだけで、ものすごく車内の温度が上がり、車に乗り込むたびに汗だくになります。

夏の車内は、構造上外気温よりも暑くなります。

密閉空間の車から、暑くなった車内の空気が外へ逃げ出さないため、日中は車内の温度が上がり続けるためです。

つまり、30度を超える夏日で直射日光を浴びている環境よりも、直射日光は遮られているものの車内の方が暑い環境になります。

夏の車内は危険

車内が暑くなると以下2つの大きな問題が発生します。

  • 熱中症
  • 脱水症状

熱中症

気温が高い環境下に居続けると、頭がボケーとしたりクラクラし、熱中症になります。

外気温よりも気温が高くなる車内は、車外よりも過酷な環境状態です。

そのため、自動車の窓を開け、涼しい外気を車内に取り込み(外気と言っても夏日は30度以上ですが)、エアコンを使って車内温度を下げないととても危険です。

そのため、エアコンを使わない夏の車内は、車外にいるよりも熱中症リスクが高まります。

脱水症状

熱中症と大きな関わりがありますが、高温の車内は脱水症状のリスクも高くなります。

前述した通り、夏場の外気温30度以上をはるかに超える車内温度になるため、適切な水分補給は不可欠です。

車を利用するときには、自宅のようにすぐに冷蔵庫から飲み物を取り出せる状態ではないこともありますので、脱水症状のリスクも高くなります。

夏の車内は気をつけてください。

車内 暑くなるメカニズム

夏場、車内が熱くなる原因は、太陽の赤外熱です。

太陽から発する強烈な赤外熱が車内温度に大きな影響を及ぼします。

太陽の赤外熱が車内を温める経路は2つあります。

  1. 窓ガラスを通過する赤外熱
  2. ボディーを伝わる赤外熱

イメージ図で示すと以下になります。

車内が暑くなるメカニズムを詳細に示したフローチャートは以下の通りです。

窓ガラス 通過赤外熱

太陽から発する赤外熱は、窓ガラスを通過して車内へ侵入します。

現在販売されている多くの自動車は、紫外線・赤外線(IR)カットガラスが採用されています。

フロント、リヤ、サイド窓ガラス全てに採用されている車種がほとんどです。

そのため、自動車内に侵入してくる赤外熱は、約1/10にカットされています。

とはいっても約1/10もの赤外熱が車内へ侵入します。

この赤外線が車内を急激に暑くします。

この窓ガラスから侵入する赤外熱が車内の温度を上げている最大の原因ですので、次の章で詳しくご説明します。

ボディー 伝達赤外熱

太陽から発する赤外熱は、金属製のボディーを伝わって車内へ侵入もします。

自動車ボディーは金属でできており、非常に熱伝導率が良いです。

そのため、太陽光の赤外熱をボディーの鉄板が吸収し、それを車内に放射熱という形で熱を放ちます。

そしてこの放射熱が車内の空気を温めます。

そのため、赤外熱の吸収しやすい黒色のボディ(黒色に近いボディー色)は、赤外熱をより吸収し、車内の温度が上がりやすいと言えます。

同じ環境で、同じ車を並べて放置したときに、黒色に近いボディー色の車であるほど車内の温度が上がる結果が出ています。

これは、ボディーを伝わる赤外熱の影響と言えます。

ただし、ボディーから伝わる赤外熱の影響は、窓ガラスから侵入する赤外熱と比べたら車内が暑くなる影響は小さいです。

赤外線熱が伝わるフローチャートは以下です。

窓ガラス 通過赤外熱 メカニズム

先述した通り、車内を高温にする影響は窓ガラスを通過する赤外熱の影響が大きいです。

この理由について詳細を書きたいと思います。

窓ガラスを通過した赤外線は、大きく分けて以下3つに影響を与えます。

  • 車内空気
  • シート
  • インパネ(内装部品)

車内空気

窓ガラスを通過した赤外熱は車内空気に触れます。

赤外熱が車内の空気を直接温めているイメージがありますが、実は全く車内の空気を温めていません。

赤外熱は空気を温める性質がないため、車内温度向上に全く影響を与えません。

シート

窓がガラスを通過した赤外熱はシートに触れます。

赤外熱はシートを温め、温められたシートが熱を放射して車内の空気を温めます。

シートからの放射熱で車内温度が向上します。

ただし、シート表皮素材(皮、繊維)は、熱を吸収しにくいため、熱の吸収量が小さくなり、その結果熱の放出量も小さくなり、車内温度上昇の影響は限定的です。

インパネ(内装部品)

窓ガラスを通過した赤外熱はインパネを代表とする内装部品に触れます。

そして赤外熱はインパネ(内装部品)を急激に温めます。

特に、赤外熱が直接当たるインパネは赤外線の最も大きな影響を受けます。

インパネは、太陽光を直接照らされる位置にあり、部品面積が大きく、かつ熱の吸収量が大きくなる黒色であるため、非常に多くの赤外熱を吸収し、熱を保持し、保持した熱を照射熱として車内空気を急激に温めます。

これが車内空気が暑くなる最大の原因です。

車内が暑くならないようにするには

ではどうしたら良いか?

ここまで読んでいただいた方はピンときたかもしれません。

車内が暑くならないために以下の対策が効果的です。

  • インパネを完全に覆う
  • インパネ周辺部品を完全に覆う
  • トノカバーを覆う

インパネを完全に覆う

一番効果があるのは、赤外熱がインパネに触れないことです。(太陽光がインパネに当たらないようにする)

車内が暑くならないように売られているサンシェードは、インパネとシートに直射日光(赤外熱)が当たらないように設計されており、実に理にかなっています。

ただし、窓を覆うことが目的というよりも、インパネを覆うことが重要です。

夏場にショッピングモールや遊園地の駐車場で、サンシェードをつけて対策をしている車を見かけますが、インパネ全体を覆うことができていない車を非常に多く見かけます。

また日陰に車を駐車する際には、インパネ側(自動車前方側)が日陰になるように駐車することをお勧めします。

インパネ周辺部品を完全に覆う

インパネ周辺にある部品を覆うことも非常に効果があります。

例えば、自動車を運転する際に手が触れるステアリングホイール(自動車を操縦する輪っか)です。

ステアリングホイールとは
ステアリングホイールとは

夏場に車に乗り込んだ際に、ステアリングホイールがものすごく熱くなっている経験があるかと思います。

これはインパネと同じことが起きています。

ステアリングホイールは、体積は大きくないため、熱の吸収量(放射熱容量)は大きくありませんが、直射日光が当たる部品であるため、覆ってしまうことで車内温度上昇を抑えることができます。

トノカバーを覆う

トノカバーという部品をご存知でしょうか。

トノカバーとは、車のトランク上についており、トランクの荷物を隠すためのカバーです。

トノカバーはプラスチックでできているものもあり(以下の写真は繊維のため赤外熱の影響は小さい)、プラスチックであれば、インパネと同様に車内温度向上の温床になっているため覆う(外す)ことをお勧めします。

対策品

上記の観点から、夏の車内が暑くならないようなおすすめの商品は以下です。

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最後に

今回は、夏の車内が暑くなるメカニズムと対策 について書きました。

主に樹脂やゴム材料、材料リサイクルに関してわかりやすくまとめておりますので、皆さんのご参考になれば幸いです。

ゴムや樹脂材料でお困りなことがありましたら気軽にコメントいただければ、分かる範囲でご回答させていただきます。